
FileMakerエンジニア

「紙の書類が山積みで、現場の進捗が見えない…」「工程管理や発注ミスで、ムダな手戻りが頻発している…」
そんな課題にお悩みの建設業の皆さまへ。
今こそ、“現場主導型のシステム導入”で業務効率を根本から見直すタイミングではないでしょうか?
近年、建設業でも人手不足対策や情報共有の円滑化を目的に、DX(デジタルトランスフォーメーション)への注目が高まっています。しかし、システム開発には「失敗するケース」も少なくありません。
本記事では、** システム導入で現場の混乱を防ぐ!成功するDXの進め方 **をテーマに、よくある落とし穴とその回避策、そして実務に役立つ開発ポイントをわかりやすくご紹介します。
**「うちにもできそう」**と感じていただけるよう、実際の開発現場で得た知見を元にお届けいたします。
業務改善や将来的な受注増をお考えの方は、ぜひ最後までご一読ください。
目次
建設業の現場で、よくある“業務のつまずき”とは?

「職人さんとの連携がうまくいかない…」「現場の進捗が見えない…」「材料手配のミスで納期がずれる…」
現場ごとに異なる業種や工程が関わる建設業では、情報の断絶やスケジュールのズレが日常的に起こります。
特に以下のようなシーンで、業務の非効率さが“利益を圧迫する要因”になっているケースが多く見られます。
【業務課題のあるあると、その背景】
課題シーン | よくあるトラブル | 背景 |
---|---|---|
工程管理 | 工事の遅れや職人の手配ミス | スケジュールの共有不足・紙や口頭での伝達 |
材料発注 | 二重発注や手配漏れ | 発注履歴が属人化・現場ごとの対応 |
日報・報告 | 手書きで管理、集計に時間がかかる | 報告フォーマットがバラバラ・集計業務が手作業 |
業者・職人との連携 | 指示ミスや情報の行き違い | 現場と事務所の情報がリアルタイムで繋がっていない |
請求処理 | 請求漏れ・回収遅れ | エクセルや紙伝票での処理が属人的 |
こうした業務上の課題に対して、**「どのようなシステムを、どのように導入すれば解決できるか」**をわかりやすく解説していきます。

高齢化・属人化・旧システム…
“DXが止まる現場”の共通点とは?
多くの建設会社で、DX(デジタル化)に取り組みたくても「今のやり方にシステムが合わない」「現場が高齢化していて使いこなせない」といった声が絶えません。
一方で現場では長年培ってきた手作業や紙文化が根強く、既存のパッケージソフトを導入しても「結局使われない」ままになってしまうケースが少なくありません。
こうした背景から、以下のような課題が顕在化しています:
✅ 情報が属人化し、特定の担当者しか把握できない
→ 急な休職や退職時に業務がストップ
✅ 紙やエクセルでの管理が多く、ミスや漏れが発生
→ 請求漏れや二重発注、ミスによるコスト増加
✅ 古いシステムのまま業務が非効率に
→ 入力の手間が増え、現場の負担に
このような課題に気づかずにいると、**「気づかないうちに利益を削っている状態」**になってしまいます。
だからこそ、まず取り組むべきは「現場業務を見える化」し、どこに無駄があるのか、どこが属人化しているのかを明らかにすること。
そのため特に重要なのは、そうした**“現状把握”の視点から見たDXの第一歩**をご紹介していきます。
建設業の各工程に潜む“業務のムダ”とその実態

建設業の現場は、工程ごとに管理すべき項目が多く、属人化・紙管理・手間の多さが積み重なることで、大きな非効率や利益損失につながっているケースが少なくありません。
例えば以下は、主要な職種ごとの課題です。
■ 土地家屋調査:機材・スケジュール・報告の三重苦
ドローンなどの精密機器の管理が煩雑
作業員のスケジュール調整に時間がかかる
日報作成が「帰社後」に集中し、残業の原因に
■ 基礎工事:設計・進捗・重機…全てが“要管理”
地盤に合わせた基礎設計が必要で判断が属人化
自社と外注間の進捗共有がうまくいかない
材料・重機の貸出状況など、見える化できていない
■ 水道設備:複数現場×短納期の管理が限界に
並行して進む現場の情報把握が困難
未来の工程計画や職人手配の調整に追われる
想定と実績の粗利差が見えず、利益管理が不透明
■ 足場組立・解体:人・物・安全の三重管理が必要
外国人実習生含む作業員の指導・管理が煩雑
設置条件によっては原価計算・見積が属人的
部材・人員のスケジュールが現場ごとにバラバラ
■ 電気設備:施工と事務の“二重負担”
部材の種類が多く、ミスが発生しやすい
各種申請業務や帳票処理が紙ベースで非効率
粗利管理が手間で実態が見えにくい
■ 外装工事:職人と資材の同時管理に追われる
班ごとの日報や作業記録が煩雑
メーカーごとの部材の手配が都度発生
保守対応まで視野に入れたスケジュール調整が必要
■ 内装工事:多品種・多拠点の情報をどう束ねる?
資材の管理・発注が属人的でミスが起きやすい
複数現場の進行を見える化できていない
報告書作成で毎回帰社が必要、残業の要因に
■ 屋根工事:天候依存×高所作業のリスク管理
天候によるスケジュール変更が頻発
部材の仕入・在庫管理が煩雑
想定利益との乖離が見えず、改善につなげにくい
現場が納得しやすい
「建設業向け」システム開発の進め方
システム開発というと難しく聞こえますが、基本の流れは「家づくり」ととても似ています。
建設現場と同じように、最初の“設計図”と“段取り”を丁寧に行うことが成功の鍵となります。
ここでは、建設業の業務に合わせた「システム開発の流れ」をわかりやすくご紹介します。
詳しくはこちらの記事も参考にどうぞ。
開発手法によって、進行方向は異なります。
弊社ではシステムの規模や当初要件の決まり具合に合わせて開発手法を選択することをお勧めしています。
📌 システム開発の5つの基本ステップ
ステップ | 内容 | 建設業に例えると… |
---|---|---|
①計画(要件定義) | 何をどこまでシステム化したいかを整理 | 建物の“設計目的”と“施主の要望”を確認 |
②設計(仕様設計) | 操作画面や機能、業務フローを具体化 | 間取り図や設備仕様の設計 |
③実装(開発) | 実際にシステムを組み立てる工程 | 大工や設備業者が現場施工するイメージ |
④テスト(動作検証) | きちんと動くか、想定通りかを検証 | 建物の完成検査・水漏れチェックなど |
⑤導入・運用 | 現場で本格的に使用を開始 | 引き渡し後の入居・使用開始 |
💡ポイント:特に重要なのは「最初のすり合わせ」
最もトラブルが起きやすいのは、「思っていた仕上がりと違った…」というミスマッチ。
これを防ぐには、最初の“要件定義”を丁寧に行うことが非常に重要です。
誰が、どのタイミングで、どのような操作を行うのか?
既存業務との整合性は取れているか?
現場からの意見は反映されているか?
こうした点をしっかり確認することで、「結局使われないシステム」になるリスクを減らせます。
✅ まとめ:成功する開発は“現場の声”が起点
建設業のシステム導入では、「経営の視点」だけでなく、「現場の声」に寄り添った設計が不可欠です。
後半では、こうした現場主導型で進める「失敗しないシステム開発のポイント」について詳しく解説します。
建設業におけるシステム開発の
“よくある失敗”と回避のポイント
システム開発において、「せっかく時間とお金をかけたのに、現場では使われない」「思ったような効果が出ない」といった声は、建設業界でも少なくありません。
さらに、開発そのものの問題というよりも、“進め方”に原因があるケースがほとんどです。

❌ 失敗パターンとその原因
失敗例 | 背景・原因 | 回避のポイント |
---|---|---|
現場から“使いにくい”と不満が出る | 要件定義の段階で、現場の意見が反映されていない | ヒアリングに職長・管理者を必ず参加させる |
紙やExcelと結局併用になってしまう | 既存業務との整合性が取れていない | 「今のやり方」を棚卸しし、移行設計を丁寧に |
費用が膨らみ、開発が長期化する | 要件が曖昧なままスタートし、途中で仕様変更が多発 | スモールスタートで段階導入にする |
作ったまま放置、運用が定着しない | 導入後のフォロー体制や教育が不足 | サポート含めた運用設計と内製支援の体制構築 |
✅ 成功のカギは「社内の巻き込み」と「段階的な導入」
開発プロジェクトを成功させるには、以下の3つを意識すると効果的です。
① 現場の声を最初から拾う
日報、発注、請求など、誰が・何を・どこで操作するのかを明確に
パソコンが苦手な人でも使えるUI/UXを意識する
② 全部を一気に作ろうとしない
「日報管理だけ」など、小さく始めて評価・改善
成果が出れば、社内の理解も進みやすい
③ 運用定着までが“開発”
操作マニュアルや現場説明会を実施
内製・保守を意識した開発体制にする
✍️ まとめ:現場起点で考える開発が、成功への近道
開発プロセスの正しさよりも、「使われるかどうか」がシステム導入の成否を分けます。
そのため“使う人”が主役になれる開発こそ、建設業におけるDX成功のカギなのです。
こうした課題を解決する
「ローコード開発」の可能性
💡 現場の声をスピード反映。「ローコード」が建設業に合う理由
「システム開発=時間がかかる、大規模、専門家でないと無理」
そう思われがちな中で、いま注目を集めているのがローコード開発です。
ローコードとは、専門的なプログラミングを最小限に抑え、画面操作中心でアプリ開発ができる仕組みのこと。要するに建設業界でも、以下のような業務改善で導入が進んでいます。
✅ ローコード開発が建設業にもたらすメリット
課題 | ローコードでの解決例 |
---|---|
日報の回収・集計が遅い | タブレット入力で現場から直接登録、リアルタイムで集計可能に |
材料や重機の貸出状況がわからない | 在庫管理アプリを短期間で内製化、台帳不要に |
工事ごとの原価管理が煩雑 | 工事別の粗利・経費入力画面を簡単に作成、自動集計も可能 |
各現場ごとの進捗を把握したい | 工程表+写真+メモをまとめた現場進捗アプリを構築 |
🛠 実は現場でも運用しやすい
例えば、**Claris FileMaker(クラリス・ファイルメーカー)**は、業務に合わせて自由にカスタマイズできるローコード開発ツールとして、多くの建設業で活用が進んでいます。
-
Excelに近い感覚で使える
-
現場の声を取り入れてスピーディに改善できる
-
クラウドで共有でき、遠隔地からでも使える
といった点から、「システムを“作って終わり”ではなく、“使いながら育てる”」スタイルが実現可能です。
本記事のまとめ
本記事では、建設業におけるシステム開発の流れ・課題・成功のポイントについて解説してきました。
🔸 工程・職種ごとに異なる“業務のつまずき”
🔸 現場の声を無視した開発がもたらす失敗
🔸 成功のための「段階導入」と「巻き込み」
🔸 そして、現場のスピードに合った「ローコード」の選択肢
今、建設業界でも「属人的な業務」や「紙・Excelの限界」を脱するチャンスが広がっています。
「うちでもDXを進めたいけど、何から始めればいいのかわからない…」
そんな方は、まずはお気軽にご相談ください。

株式会社ブリエFileMakerエンジニア。今では開発に携わった件数も100件以上、建設業、造園業、設備業、土木業、引越業、運送業、製造業、幼稚園、保育園、サービス業、清掃業など様々な業種の開発を経験。どのような業務でもお客様と一緒に課題を考え、ベストな解決策をご提案します。キャンプとオムライスが好き。