【機能事例】見た目は同じでも中身は別物。FileMakerのカレンダーを「繰り返しフィールド」から「Webビューア」へ

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執筆者:金元 康介

FileMakerエンジニア

Claris FileMaker(クラリスファイルメーカー)で社内システムを構築するとき、「営業日や休日をひと目で確認できるカレンダーを持たせたい」というご要望はとても多くいただきます。予定表、稼働日管理、点検スケジュールなど、業務の中心に「カレンダー」が置かれる場面は少なくありません。

実は、このカレンダー。FileMakerの標準機能である「繰り返しフィールド」でも作ることができます。画面に並べれば、ちゃんと月めくりのカレンダーとして機能します。ところが、同じ見た目のカレンダーでも「裏側のデータの持ち方」によって、動作の軽さや将来のメンテナンス性が大きく変わることをご存じでしょうか?

本記事では、同じ営業カレンダーを「繰り返しフィールド」で作った場合と、「Webビューア」で作り直した場合を比べながら、見た目はほとんど変わらないのに中身はまるで別物という、株式会社ブリエの開発事例をご紹介します。

目次

「シンプルな見た目なのに、なぜか重い」繰り返しフィールドの見えない負担

1ヶ月分のカレンダーは、7列(曜日)×最大6行(週)=42マスで構成されます。繰り返しフィールドでこれを表現しようとすると、「日付」「休日」「備考」といった項目それぞれを42回の繰り返しを持つフィールドとして用意し、42個のマスに割り付けていくことになります。さらに、月をまたいだ日付を薄く表示する、日曜・祝日を色分けする、といった見せ方を実現するために、マスごとの条件付き書式や、月単位でデータを切り出すための計算フィールドが幾重にもぶら下がっていきます。

加えて負担になりやすいのがレコードの持ち方です。今回検証した繰り返しフィールド版では、カレンダーの元データを「1日=1レコード」で持っていました。1日ぶんずつ増えていくため、2年運用すればおよそ700件。日付が進むほどレコードは際限なく増えていきます。マスの数だけ膨らむフィールドと、日々増え続けるレコード。この二重の肥大化こそが、「見た目はシンプルなカレンダーなのに、開くと妙にもたつく」という重さの正体です。

1ヶ月=1レコード。Webビューア+JSONで“裏側”を軽くする

そこでブリエがご提案したのが、FileMakerのWebビューアを使ってカレンダーを描画する手法です。カレンダーの「絵」そのものは、HTMLとCSSで組んだシンプルな7列グリッドがWebビューアの中で描きます。FileMaker側は、その月に表示したいデータ(日付・休日・備考など)をJSONというテキスト1本にまとめてWebビューアへ渡すだけ。受け取ったWebビューアが、そのデータを読んでカレンダーを組み立てます。

この構成にすると、データの持ち方が根本から変わります。42マスぶんの繰り返しフィールドは不要になり、1ヶ月分のデータはJSONフィールドがたった1つあれば足ります。レコードも「1日=1レコード」ではなく「1ヶ月=1レコード」へ。実際、同じ約2年分でも、Webビューア版のカレンダーテーブルはわずか25件で収まっていました。従来版が同じ期間で700件を超えるのと比べると、抱えるレコードの数はひと桁変わってきます。レコードもフィールドも少なければ、画面の表示はそれだけ軽く、開いたときのもたつきも起きにくくなります。

データが軽くなるだけではありません。カレンダーの見た目や振る舞いを変えたいときも、Webビューアなら描画を担うHTMLとCSSを調整すればよく、FileMakerの繰り返し設計そのものを組み替える必要がありません。「土日の色を変えたい」「祝日にマークを付けたい」「クリックしたら休日を切り替えたい」こうした現場からの追加要望にも、しなやかに応えられる土台になります。

見た目は同じ。それでも効いてくる“裏側”の差

ここで正直にお伝えしたいことがあります。今回の改善は、ユーザーの画面上ではほとんど“変化が見えない”という点です。カレンダーは以前と同じように月ごとに表示され、休日は色づき、日付は並ぶ。操作感も見た目もそれほど変わらない。派手なビフォーアフターがある種類の改善ではありません。

 それでも私たちが裏側を作り替えたのは、その「見えない差」が、毎日の快適さと将来の拡張性に直結するからです。抱えるレコードとフィールドが少なければ、画面はきびきび開きます。データ構造がシンプルなら、機能を足すときの改修も速く、安全になります。同じカレンダーでも、半年後・一年後に効いてくる“体力”がまるで違うのです。

この軽さは、外出先や工場・現場でよく使われるiPadやiPhoneの「FileMaker Go(ファイルメーカーGo)」でもそのまま活きます。モバイル端末は処理性能に制約がある分、抱えるデータが軽い設計ほど体感差がはっきり出ます。現場で毎日カレンダーを開いて予定や稼働日を確認するような業務では、この一手間の積み重ねが、日々のストレス軽減につながります。

まとめ

「FileMakerの標準機能でも作れるから」で立ち止まらず、データの持ち方から見直すことで、同じ見た目のカレンダーを、より軽く・より育てやすいシステムへ進化させることができます。繰り返しフィールドからWebビューア+JSONへ。表からは見えない一歩ですが、その差は毎日の操作と将来の改修にしっかり効いてきます。

株式会社ブリエでは、お客様の業務フローや現場の動線に合わせた、FileMakerのカスタマイズ開発を得意としています。「なんとなく重い」「機能を足すたびに大がかりになる」そんな“裏側”のお悩みも、設計から見直してご提案いたします。
業務システムのセキュリティについてのご相談もお気軽にお問い合わせください。

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執筆者:金元 康介

様々な業種での経験を活かし、現在はFileMakerを中心に活躍しているエンジニアです。幅広い分野で培った柔軟な発想力と多角的な視点を強みとし、プログラマーとして日々取り組んでいます。明るく親しみやすい性格でコミュニケーション力にも自信があり、人とのつながりを大切にしながら、周囲への貢献をやりがいとしています。持ち前の明るさと粘り強さで、新しい価値の創出に努めています。

【全国対応】株式会社ブリエは、企業の経営課題であるDX化、業務効率化、ペーパーレス化、情報の一元管理など、ビジネスニーズの変化に合わせてFileMakerで業務システムを開発し、柔軟に拡張して解決します。あらゆる業種や規模の企業、非営利団体、学校に固有の課題を解決するカスタムAppをご提案します。

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