「失敗しない」システム開発の注意点 建設業編

Picture of 執筆者:波多江 克隆
執筆者:波多江 克隆

FileMakerエンジニア

建設業システム

システム開発は建設業界でも重要な役割を果たします。しかし、適切な注意点を押さえないと失敗するリスクがあります。本記事では、失敗を避けるための具体的なポイントを解説し、成功するシステム開発をサポートします。是非、参考にして頂き、業務効率化を実現しましょう。

目次



はじめに

建設業と一重にいっても様々な役割の業種が存在します。

それぞれ仕事の特徴を理解することが重要です。

 

各分野の役割と課題

 

1. 土地家屋調査

役割: 建設予定地の測量を行い、正確な土地情報を提供します。

課題: 測量データの精度が建物の位置決定に直結するため、高度な技術と精密な計測が求められます。

 

2.基礎工事

役割: 建物の土台を作る工事で、建物の安全性を確保するために非常に重要です。

課題: 地盤の強度や地質に応じた適切な基礎設計が必要で、不適切な設計は建物の安全性に大きな影響を与えます。

 

3.水道設備

役割: 建物内の給排水システムを設置し、生活用水や排水の管理を行います。

課題: 配管の漏れや詰まりを防ぐための高い施工技術が求められ、定期的なメンテナンスも重要です。

 

4.足場組立・解体

役割: 建設作業を安全かつ効率的に行うための足場を設置します。

課題: 作業員の安全を確保するために、頑丈で安定した足場の設置が必要で、安全基準を遵守することが求められます。

 

5.電気設備

役割: 建物内の電気配線や照明、電力供給システムを設置します。

課題: 配線の誤接続や短絡を防ぐための高度な技術と、最新の電気規格に基づいた施工が必要です。

 

6.外装工事

役割: 建物の外観を仕上げる工事で、防水や断熱、デザイン性を考慮します。

課題: 天候や外部環境に対する耐久性を確保するための材料選定と、見た目の美しさを両立させる施工技術が求められます。

 

7.内装工事

役割: 建物の内部を仕上げる工事で、壁紙や床材、天井などの設置を行います。

課題: デザイン性と機能性を両立させるための高度な技術と、顧客の要望に応じた柔軟な対応が必要です。

 

8.屋根工事

役割: 建物の屋根を設置し、雨風から建物を守ります。

課題: 屋根材の選定や施工方法によって耐久性が大きく変わるため、気候や環境に適した施工が求められます。

 

 

これらの各分野の専門的な役割と課題に対応するために、システム開発においてもそれぞれのニーズをしっかりと把握し、適切な対応が求められます。本記事では、これらのポイントを押さえたシステム開発の注意点について詳しく解説します

 

現状の分析と課題を見つける

建設業におけるDX化の課題

現在、多くの建設会社は歴史ある伝統的な仕事の手法が、既存のパッケージシステムに合わず使いにくさやシステム導入に踏み切れないジレンマに悩んでいます。

また従業員の高齢化に伴い、よりシステムやDX化を図ることに高いハードルを感じている企業がほとんどです。

例えば、情報が一元化されていないために担当者しか情報を把握していないことが起きたり、紙ベースでの管理を行うことで紛失リスクやヒューマンエラーによる請求漏れなど多岐に渡り会社にとってマイナスとなることが発生しがちです。

また旧式のシステムや仕組みが業務の効率を下げてしまうことが挙げられます。これらの課題を解決するためには、現状を正確に分析し、具体的な問題点を抽出することが重要です。

 

建設業の各分野における主な課題

1. 土地家屋調査

 •近年ではドローンなどの精密機器も使用するため機材の管理が煩雑化している。

 •効率よく調査作業を行うため作業員のスケジュール管理が難しい。

 •作業に報告など日報を事務所に帰ってから作業するため作業員の負担が大きい。

.基礎工事

 •地盤の強度や地質に応じた適切な基礎設計が必要。

 •自社や協力会社など工事の進捗や完了状況など進捗管理が難しい。

 •コンクリートなど材料管理や重機の使用状況や貸出状況などの管理が煩雑。

3.水道設備

 •短い期間で複数の現場を管理、施工を行うため状況の把握や管理が複雑

 •全体的な案件の管理や未来の工事や作業員のスケジュールなど管理が難しい。

 •当初予定の粗利と実際に施工後の粗利の管理が煩雑のため実態が把握しづらい。

4.足場組立・解体

 •作業員の管理や近年では実習生などの外国人労働者への管理業務や指導など負担の種類が増加。

 •設置する場所に応じて繊細な原価計算と見積作業が特定の人しかできない。

 •足場の部材在庫管理や、設置と解体の作業員や部材のスケジュール管理が難しい。

5.電気設備

 •配線や接続部品など部材の種類が多く管理が煩雑。

 •施工工事以外にも申請作業など事務作業が多く紙媒体での管理などが発生する。

 •当初予定の粗利と実際に施工後の粗利の管理が煩雑のため実態が把握しづらい。

6.外装工事

 •1現場で複数名が作業することが多く班の編成や日報管理が煩雑。

 •色々なメーカーの様々な部材があるため発注業務や在庫状況の管理が難しい。

 •施工後に定期的な保守点検など請負工事以外の作業管理も発生するため管理が難しい。

7.内装工事

 •色々なメーカーの様々な部材があるため発注業務や在庫状況の管理が難しい。

 •短い期間で複数の現場を管理、施工を行うため状況の把握や管理が煩雑

 •施工前と施工後の作業報告書作成のために事務所に帰る必要があるため残業が多い。

8.屋根工事

 •高所作業のため天候に影響されやすくスケジュール管理や調整が難しい。

 •部材の発注や仕入、在庫状況の把握が煩雑。

 •当初予定の粗利と実際に施工後の粗利の管理が煩雑のため実態が把握しづらい。

各分野の具体的な課題を把握することで、システム開発においてもそれぞれのニーズに対応したソリューションを提供することが可能になります。これにより、建設業の業務効率化と安全性向上が期待できます。

システム開発の基本プロセス

システム開発には、様々な手法があります。

詳しくはこちらの記事も参考にどうぞ。

開発手法によって、進行方向は異なります。

弊社ではシステムの規模や当初要件の決まり具合に合わせて開発手法を選択することをお勧めしています。

 

 

1.計画(要件定義)
 
何の業務をどこまでシステム化するか?

2.設計(仕様設計) 

どのような画面構成と業務フローでシステム操作する想定か?

3.実装(開発) 

要件定義と仕様設計をもとに開発作業
4.動作テスト 

開発した機能の動作をテストする

5.導入 

本格稼働

という基本的なプロセスがあります。特に、要件定義をしっかりと行うことで、後々のトラブルを防ぐことができます。また、プロジェクト管理を効率的に行うためには、適切なツールの導入や定期的な進捗確認が欠かせません。

成功するシステム開発のポイント

成功するシステム開発のためには、ユーザーのニーズを正確に把握することが不可欠です。現場の声を積極的に取り入れ、使いやすいシステムを構築することが求められます。また、効果的なコミュニケーション手法を取り入れることで、開発チームと現場スタッフとの連携を強化することができます。

成功するには失敗しないようにする対策が必要です。

 

1.パワーバランスを理解する

建設業界では様々なスタイルの企業が存在します。

絶対的な社長のトップダウンで成り立っている企業、前社長からの付き合いなどで発言権のある職人さんがいる企業、従業員の意見を取り入れながら相談ベースで運営をしている企業など様々です。

パワーバランスによって打ち合わせに参加してもらう担当者やシステムの仕様で迷った際の決定権が明確になります。

例えばトップダウンの会社なのにもかかわらず、従業員とだけで仕様を決定すると社長NGなどで仕様が変わってしまうことがあります。必ず社長にも参加してもらいましょう。

2.夢を膨らませずにミニマムスタートを目指す

専用のシステム開発を行う場合、どうしてもやりたいことが多く将来のことなどを踏まえ話が膨らんでしまいがちです。

ただし、システムの規模が大きくなればなるほど、実際にシステムを運用する際に従業員の負担が増えてしまうため、高齢の従業員などはついていなくなる可能性が高くなります。

そうなってしまっては本末転倒です。必要最低限の業務からシステム化を図ることがより重要と考えます。

3.システム開発の目的 スタートとゴールを明確にする

会社にシステムを導入しようとした目的を最初に決定し軸を固めることが重要です。

紙媒体での管理や事務所に帰って作業が発生するため、残業時間などを減らし捌ける現場の数を増やすなど売上に繋がる業務効率化が目的なのか?勤務状況を改善し福利厚生を充実させたいのか?そもそもの目的を明確にすることで開発が必要な業務が明確になります。

特にシステム運用においては、最初に作って完成ではなく、時代の流れ、会社の成長とともにシステムも一緒に成長(追加カスタマイズ)させながら運用していくことが最適です。

どうせ作るなら必要なものは全部作ってしまおう!ではなく必要最低限のシステムを作りDX化、システム化を図り業務効率化を成功させることが重要となるため目的を見失わないようにしっかりと軸を固めましょう。

まとめ

本記事では、自社のシステムを開発したいがどうしたらいいかわからない中小企業や、建設業のシステム開発を受託したもののうまく運用に至らない開発会社向けに建設業におけるシステム開発の成功ポイントを解説しました。これらのポイントを押さえることで、システム開発の失敗を避け、業務効率を向上させることができます。今後のシステム開発においても、常に最新の情報を取り入れ、柔軟な対応を心がけることが求められます。

Picture of 執筆者:波多江 克隆
執筆者:波多江 克隆

株式会社ブリエFileMakerエンジニア。今では開発に携わった件数も100件以上、建設業、造園業、設備業、土木業、引越業、運送業、製造業、幼稚園、保育園、サービス業、清掃業など様々な業種の開発を経験。どのような業務でもお客様と一緒に課題を考え、ベストな解決策をご提案します。キャンプとオムライスが好き。

【全国対応】株式会社ブリエは、企業の経営課題であるDX化、業務効率化、ペーパーレス化、情報の一元管理など、ビジネスニーズの変化に合わせてFileMakerで業務システムを開発し、柔軟に拡張して解決します。あらゆる業種や規模の企業、非営利団体、学校に固有の課題を解決するカスタムAppをご提案します。

新着記事
アーカイブ
まずは、資料請求

ダウンロードできる資料の内容
・資料はすぐにメールで届きます
・1分でわかる株式会社ブリエの会社概要
・FileMaker開発の概算料金

無料相談はこちら

お問い合わせ・ご相談できること
・自社の業務の一元管理の進め方 / 改善について相談したい
・どのような機能が作れるのか知りたい
・自社に合う形で導入したときの料金を知りたい