FileMakerエンジニア
製造業の現場において、切っても切り離せない課題のひとつが「図面の更新・変更管理」です。
製品仕様の変更に伴う図面改訂は日常茶飯事ですが、生産管理と製造現場の間で「最新の変更情報が確実に共有されていない」と、旧図面のまま製造してしまうトラブルにつながります。
今回は、紙図面とFAX・メール連絡に頼っていた運用を見直し、FileMaker(ファイルメーカー)とiPadを活用することで、更新前の旧図面による誤製作を減少させたシステム改善事例をご紹介します。
目次
1. 従来運用の課題
まずは、改善前に企業様が抱えていたリアルな課題を見ていきましょう。
【従来の業務フロー】
- 生産管理側:案件ごとに図面を印刷し、事務所のラックに用意
- 製造現場側:ラックから紙図面を持ち出して作業を実施
- 事務業務側:「FAX」と「メール」で変更を周知
- 図面変更時:生産管理から現場へ口頭周知と旧図面回収・図面差し替え
【抱えていた主な問題点】
・繁忙期における連絡の形骸化
図面変更のお知らせをFAXやメールで周知していたものの、現場が多忙を極める時期には「FAX用紙の紛失」や「メールの見落とし」など、「連絡漏れ」が度々発生していました。
・差し替え忘れによる旧図面での製作
紙図面がラックや現場にあるため、最新図面への差し替え忘れにより「変更前の旧図面のまま製品を加工・組み立ててしまう」不具合が発生していました。また、製造現場には手元で直感的に確認できる紙図面が必要不可欠であり、完全なペーパーレス化(デジタル化)は難しい側面もありました。
2. FileMakerによる解決策(iPad連携と最新版制御の構築)
この課題を解決するため、従来から活用していた「受注管理システム(FileMaker)」に連携する形で、新たに「製造管理システム(FileMaker)」を構築しました。
【新システム運用のイメージ】
[ 受注管理システム ]
│ 図面変更(図面番号変更)
▼
[ 製造管理システム ]
│ リアルタイム同期
├─ TOP画面:「図面変更お知らせ」を即座に反映表示
└─ iPad(FileMaker Go)で閲覧
・最新図面のみ表示・閲覧可能
・旧図面はシステム側で自動非表示(アクセス不可)
【システム構成と導入のポイント】
製造現場へのiPad「FileMaker Go(ファイルメーカーGO)」導入
従来は事務所のパソコンからしかシステムにアクセスできませんでしたが、iOS/iPadOSデバイスでの実行環境として提供されている「FileMaker Go」の導入により、現場のどこからでも最新情報を閲覧できるようになりました。
システムTOP画面への「自動お知らせ機能」
受注管理システム側で図面の差し替えや改訂が行われると、製造管理システムのTOP画面に即座に「図面変更のお知らせ」が表示される仕組みを導入しました。これにより、メールの埋没やFAXの紛失といった人為的ミスを防止する仕組みとしました。
旧図面の閲覧ブロックと「紙図面差し替え」の認識徹底
製造現場での作業には紙図面が必須であるため、紙図面自体を完全に廃止することはできません。そこで、iPadで図面を閲覧する際、変更前の旧図面が登録されていた場合は画面上に表示できない制御を導入し、常に最新図面の有無を認識できるようにしました。現場作業者はiPadのTOP画面やお知らせ機能で更新有無を確認してから最新図面を確認できるため、「手元の紙図面が古いまま作業を進めてしまう」ことによる製作ミスの発生を減少させることができました。
3. 導入効果(旧図面による製品の誤製作が減少)
システム構築後、生産管理と製造現場の間での「連絡漏れ」や「図面差し替え忘れ」は減少しました。
また導入後、現場からは以下のようなお声が多く寄せられるようになりました。
『旧図面で作業しかけたが、システムの通知を確認することで作業前に変更に気づくことができた』
『手元の紙図面だけで作業を進める不安がなくなり、最新状態を確実に把握できるため安心して着手できた』
『FAXの確認や旧図面の捜索に手間取ることがなくなり、作業の段取りがスムーズになった』
紙図面を現場で継続利用しながらも、iPadでのTOP画面通知によって「図面更新の有無を確実かつ迅速に認識できる環境」を構築した結果、旧図面による誤製作の発生件数が減少するという成果を達成しました。
現場の作業スタイルを変えずに、情報の入口をシステム化して制御することが、製造ミスを防ぐ重要なカギとなります。
まとめ
FAXやメールによる連絡や、手動での旧図面回収に頼る運用では、繁忙期になればなるほど「見落とし」や「紛失」によるトラブルのリスクが高まります。
製造現場において紙図面が廃止できない場合であっても、「受注管理と製造管理をリアルタイム連携する」「システムTOP画面で更新をお知らせする」「iPad側で変更前の旧図面を表示させない」という仕組みを取り入れることで、ミスを防止できます。
「紙図面の運用は維持したいが、差し替えミスによる不具合品を減らしたい」
「FAXやメールでの変更連絡を見落とされがちで困っている」
「iPadを活用して現場の製造管理を効率化したい」
このようにお悩みの方は、ぜひ株式会社ブリエまでお気軽にお問い合わせください。
株式会社ブリエのプログラマー。サービス、製造、IT分野と幅広い業界の現場で培った実務経験を活かし、お客様の潜在的なニーズに応えます。デジタルとアナログ両面の良さを生かし、「本当に使いやすい」と感じる、業務効率化に直結したシステム構築を実現します。休日はDIY、バイク、カヌー、ラジコン、ギターなど、ものづくりや趣味に没頭するアクティブ派です。








