FileMakerエンジニア
業務の複雑化が進む中、担当者ごとに異なるタスクや確認項目を確実に処理することは、多くの企業で共通する課題です。
今回ご紹介するB社では、FileMaker(ファイルメーカー)を中心に案件・業務管理を行っていましたが、社内連絡がメール中心で、確認漏れや対応遅れが発生していました。
そこで新たに Slack(スラック)とFileMakerを連携させ、必要なタイミングで自動通知が飛ぶ仕組み を導入したところ、業務抜け漏れが劇的に改善。
Slack連携機能によって業務フローの透明性とリアルタイム性を高めた、実践的な機能追加事例をご紹介します。
目次
業務連絡の抜け漏れによる課題
B社では、案件管理や社内業務の多くをFileMakerで運用していましたが、以下のような課題がありました。
①メール連絡が埋もれて見逃される
・社内連絡はメールベースで行われていたため、他の連絡に埋もれて案件対応が遅れるケースが多発。
②担当者ごとに伝達漏れが発生
・案件ごとに担当者が異なるため、「誰に連絡すべきか」「どのタイミングで通知すべきか」が属人化していました。
③外出先からの確認が遅れる
・外回りが多い担当者はメールをリアルタイムで確認できず、業務進捗の遅延につながっていました。
「必要な通知だけを担当者に確実に届けたい」という現場の声を受け、FileMaker × Slack の自動通知連携 を実装することになりました。
FileMaker × Slackで実現した自動通知フロー
今回開発したSlack連携機能は、FileMaker内で設定した条件に応じて、Slackの指定チャンネルまたは担当者へ自動通知を行う仕組みです。
例えば
・案件のステータスが “対応待ち” になったら担当者に通知
・見積の承認が必要になったら管理者チャンネルに自動送信
・期限超過が近づいたタスクをSlackに自動アラート
・外出中の担当者にスマホへ即時通知
といった形で、現場のリアルな業務フローに合わせた柔軟な自動化を実現しました。
開発した主な機能
Slack Webhook通知機能
SlackのIncoming Webhookを利用し、FileMakerからAPI連携を実装。
通知したいメッセージはFileMaker側でAPIできるデータに自動で変換し、SlackにAPIで連携するだけでメッセージを送信できる仕組みです。
・チャンネル指定
・メンション(@here、@channel、@ユーザーID)
・メッセージ整形(タイトル・本文・リンクなど)
をすべてFileMaker側から制御できます。
担当者別の通知メッセージ自動生成
案件・タスクごとに担当者が異なるため、
FileMaker内のユーザーマスタと紐付け、通知内容を自動生成。
自動抽出される情報例
・案件番号
・案件名
・担当者名
・締め切り日
・状況ステータス
・案件画面へのURLリンク
これにより、通知を受け取った担当者はSlackから即座に案件へアクセスできます。
条件に応じた通知タイミング制御
通知のタイミングは各業務フローに合わせて細かく制御。
・ステータス変更時
・新規登録時
・期限〇日前に自動で通知
・承認待ち状態が24時間以上経過した場合
FileMakerのスクリプトトリガーやサーバサイドスケジュールを併用し、
「通知しすぎず、必要な通知だけ行う」 仕様を実現しました。
通知履歴の管理
Slackに送った通知はFileMaker内に全てログとして保存。
・通知の日時
・対象案件
・送信先チャンネル
・メッセージ内容
・成功/失敗ログ
これにより、管理者が「いつ、どの担当者に通知されたのか」を確認できます。
導入後の効果
業務の抜け漏れがほぼゼロに
担当者への通知が自動化されたことで、「伝えた/聞いていない」の認識違いが激減。
確認漏れによる遅延案件が約70%減少しました。
リアルタイムの進捗共有で業務スピードが向上
Slack通知により、外出中でもスマホで即確認でき、移動中の判断・対応が早くなりました。
管理者の業務負担が軽減
ステータス管理の確認がSlackに集約されたため、管理者が個別に連絡する手間が大幅に削減。
導入スケジュールと費用感(例)
| 工程 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| ヒアリング・要件整理 | 連携タイミング、通知内容、運用フローの整理 | 1〜2週間 |
| 設計 | Slackメッセージ仕様、通知条件、ログ設計 | 1〜2週間 |
| 開発 | Webhook連携、スクリプト構築、通知制御 | 1.5〜3週間 |
| テスト | シナリオ検証、負荷確認、微調整 | 1〜1.5週間 |
| 導入 | 運用開始、初期レクチャー | 1週間 |
費用感(目安):75〜150万円程度
規模や通知パターンの数により前後します。
まとめ
B社のSlack連携は、FileMakerの柔軟な外部連携機能を活かし、日常業務における「抜け漏れ・連絡遅れ」の課題を根本から解決する取り組みでした。
・外部システムとの柔軟な連携
・自動通知による業務ミスの削減
・外出先でも対応できる即時性
・ログ管理による内部統制の強化
「連絡が届いていない」「確認が遅れた」といった課題を抱えている企業様に、大変効果的な事例です。
また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
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多岐にわたる業種での経験を経て、現在はFileMakerを中心に活躍中のエンジニアです。ローコード開発を得意としながらも、Django、React、Flutterなどの技術にも挑戦し、幅広い開発スキルを習得。常に自分の技術を磨き、より良いソリューションを提供できるよう、継続的にスキルアップを図っています。多彩な技術を駆使して、クライアントのニーズに応える柔軟性と、迅速かつ効果的な開発力が強みです。








