
FileMakerエンジニア

「自社に合ったシステムを作りたい」と考えたときに浮かぶのが自社システム開発という選択肢です。
業務内容や組織体制にぴったりと合うシステムを構築できれば、業務効率や情報共有、セキュリティの向上など、企業活動に大きなメリットをもたらします。
- 自社の業務フローに最適化されたシステムが構築できる
- 業務の属人化や手作業を削減し、効率化できる
- 市販のパッケージでは実現できない独自要件にも対応できる
- 長期的な運用コストを抑えられる場合がある
- データや仕様の主導権を自社で持つことができる
一方で、自社システム開発には高額なコストや長期的な運用体制、失敗リスクなどの課題も存在します。
安易に進めれば、逆に業務の混乱や開発費の無駄遣いにつながりかねません。
この記事では、自社システムを開発する目的やメリット・デメリット、開発前の準備から開発会社の選び方まで、成功のために押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。
- 自社システム開発の基礎知識と進め方
- 自社システムを開発するメリットとデメリット
- 開発前に整理しておくべき準備項目
- 開発を成功させるためのポイントと注意点
- 信頼できるシステム開発会社の選び方
自社に最適なシステムを構築するための判断材料として、ぜひご活用ください。
目次
1. 自社システム開発とは

自社システム開発とは、企業が自らの業務やビジネスモデルに最適化されたシステムを独自に設計・構築することを指します。
汎用的なパッケージソフトやクラウドサービスではカバーしきれない業務フローや管理項目に対応するため、システムを一から開発したり大きくカスタマイズしたりして構築するのが特徴です。
特に、企業独自のノウハウや業務プロセスが強みになっている場合、市販ソフトを使うことでかえって業務効率が下がるケースもあります。
そうした背景から、「業務にフィットする柔軟なシステムを構築したい」「外部サービスに依存しすぎない運用体制をつくりたい」というニーズが高まっているのです。
自社システム開発の範囲は広く、営業支援や顧客管理などのフロント業務から、生産・在庫・会計などの基幹業務まで多岐にわたります。
企業の規模や業種によっても必要なシステムの設計方針は異なるため、事前の検討と要件定義が非常に重要です。
一方で、自社開発はコストや期間がかかるだけでなく、開発・運用体制の整備やリスク管理も求められます。
そのため、成功の鍵は「どのような目的で、どこまでの範囲を、どのような方法で開発するか」を明確にすることにあります。
2. 自社システムを開発するメリット

自社システムを開発する最大のメリットは、「業務に完全にフィットしたシステムを構築できる」点にあります。
業務プロセスやサービス内容が複雑化・多様化している現代において、自社のやり方に合わせて柔軟にシステムを設計できることは、企業の成長や効率化に大きな影響を与えます。
- 業務に完全フィットした機能構成
- 無駄な機能がなく運用がスムーズ
- 外部サービスに依存しない安定した運用
ここからは、自社システムを開発することのメリットについて詳しく解説します。
2.1. 業務に完全フィットした機能構成
市販のパッケージソフトは、多くの企業に汎用的に使えるよう設計されているため、細かな業務要件まで対応できないケースもあります。
特に独自の業務ルールや業種特有の処理がある場合、パッケージの仕様に合わせて業務を妥協せざるを得ないことも少なくありません。
-
業務フローに完全フィットした設計ができる
業務ごとの細かな処理手順や管理項目を柔軟に反映できる。 -
無駄な業務工数を削減できる
必要な情報を一画面に集約するなど、現場の使い勝手に配慮した設計が可能。 -
属人化していた業務が標準化される
システムに手順を組み込むことで、誰が操作しても同じ品質を保てる。
業務の効率化はもちろん、ミスの削減や作業スピードの向上にも直結するため、生産性向上の基盤として重要な役割を果たします。
2.2. 無駄な機能がなく運用がスムーズ
既製品のソフトウェアは機能が豊富である一方で、実際の運用では「使わない機能が多すぎる」「操作が煩雑」といった課題が発生しがちです。
必要な機能だけを厳選して設計できるのは強みと言えます。
-
必要な機能だけに絞れる
不要なボタンや画面遷移を排除することで、誰でも迷わず使える。 -
教育コストが抑えられる
操作がシンプルなため、新人やアルバイトでも短期間で業務に慣れる。 -
ヒューマンエラーを減らせる
入力ミスを防ぐ設計や、確認プロセスの自動化が可能になる。
結果として、日常業務のストレスが軽減され、現場のITリテラシーに関係なくスムーズな導入が実現できます。
2.3. 外部サービスに依存しない安定した運用
クラウドサービスやSaaS型システムは手軽に導入できる一方で、外部要因によって業務が制約を受けるリスクもあります。
サービス終了、料金体系の変更、突然の仕様改修といった問題は、企業にとって重大な影響を及ぼします。
-
外部サービスに依存しない安定運用ができる
自社のサーバーやクラウド上に構築することで、制御権を維持できる。 -
自社の判断で柔軟に改修・追加ができる
業務フローの変更や法改正ある場合でも、迅速かつ自律的に対応ができる。 -
長期的な継続利用がしやすい
サービス停止やベンダーロックの心配がなく、資産として蓄積できる。
安定した運用基盤を持つことで、企業の成長に合わせた柔軟なシステム展開が可能になります。
自社システム開発の最大のメリットは、「自社にとって本当に必要な機能だけを、業務に合わせて最適な形で構築できること」です。
業務に完全にフィットする設計により、無駄な工数やヒューマンエラーを削減し、操作性や生産性が向上します。
また、外部サービスに依存しない運用環境を構築することで、突発的な仕様変更やサービス停止といったリスクを回避しながら、長期的・安定的に使い続けられる資産としてシステムを育てていけます。
市販パッケージでは埋まらない自社独自の業務課題を解決し、成長に合わせた柔軟なシステム運用を実現できる点が、自社開発の大きな強みです。
3. 自社システムを開発するデメリット

自社システム開発には多くのメリットがある一方で、当然ながら注意すべきデメリットやリスクも存在します。
これらを正しく理解し、あらかじめ対策を講じておくことが、開発の成功には不可欠です。
ここからは、自社システムを開発する際に想定される主なデメリットについて整理します。
3.1. 初期コスト・開発期間がかかる
自社専用のシステムを一から開発するには、要件定義から設計・実装・テスト・運用までのすべての工程を経る必要があります。
そのため、想定以上のコストと時間がかかるという声は少なくありません。
-
初期投資が大きくなりやすい
開発規模によっては、数百万円〜数千万円単位の費用が必要になる。 -
開発期間が長期化しやすい
仕様調整やテスト期間を含めると、完了までに半年~1年かかることもある。 -
プロジェクト管理リソースが必要になる
進捗管理・仕様管理・関係部署との連携などに専門的なマネジメントが求められる。
これらを見越したリソース計画とスケジュール管理が、初期段階から求められます。
3.2. 要件定義や社内調整が複雑
自社開発で最も難しい部分のひとつが、「本当に必要な機能は何か」を見極める要件定義と、それに伴う関係者間の調整です。
関係部署が多ければ多いほど、調整コストは上がります。
-
部署間で要望がバラバラになる
営業部門と経理部門で優先順位や視点が異なり、合意形成に時間がかかる。 -
意見のすり合わせに時間がかかる
「現場で本当に必要な機能」と「経営視点で必要な管理項目」が食い違うことがある。 -
合意形成が曖昧なまま進んでしまう
仮の要件で開発が進み、後から「想定と違った」という手戻りが発生する。
プロジェクトの初期段階で関係者の意見を丁寧に吸い上げ、要件をドキュメント化することが不可欠です。
3.3. 継続的な運用/保守体制の確保が必要
システムは開発して終わりではなく、「運用してこそ価値が生まれる」資産です。
とくに自社開発の場合は、運用保守まで自社の責任で対応する体制が求められます。
-
定期的な保守対応が必要になる
法改正・業務変更・セキュリティ強化など、継続的な改修が前提となる。 -
障害やトラブル発生時の迅速な対応が求められる
業務に直結するため、トラブル発生時には即時対応できる体制が必要になる。 -
社内に知見を持つ人材を確保する必要がある
ベンダーに丸投げできないため、基本的なシステム理解が社内にも求められる。
これらに備えて、内製担当者の育成や外部ベンダーとの保守契約など、持続可能な運用体制の構築が不可欠です。
自社システム開発は、業務に最適化された環境を構築できる反面、「初期コストの大きさ」「要件調整の難しさ」「継続的な保守運用の負担」といったデメリットも存在します。
特に、関係部署との意見のすり合わせやプロジェクト全体のマネジメントには相応の時間とリソースが必要です。
また、導入後も安定して運用し続けるには、社内外の体制構築が欠かせません。
これらの課題を正しく把握し、あらかじめ計画と対策を講じておくことが、開発の成功と長期的な活用につながります。
4. 自社システムを開発する前に整理すべきこと

自社システム開発を成功させるには、開発に着手する前の「事前準備」が極めて重要です。
このフェーズを曖昧にしたまま進めてしまうと、要件がぶれたり、関係者の認識にズレが生じたりして、プロジェクトが迷走する原因になります。
- 現場の業務フローの見える化
- 関係者との共通認識づくり
- 予算とスケジュールの大まかな計画立て
- 内製か外注か方向性を検討
ここでは、開発に入る前に必ず押さえておきたい準備項目を4つの観点から解説します。
4.1. 現場の業務フローの見える化
まず取り組むべきは、現場で実際に行われている業務プロセスを把握し、見える化することです。
システムは業務を効率化するためのツールであるため、現状の業務内容や課題が正しく理解できていなければ、的外れなシステムになってしまいます。
- 各業務の流れをフローチャートや業務マップに落とし込む
- 使用中のツールや帳票、データ連携を洗い出す
- 業務の中で非効率・二重入力・手戻りが起きている箇所を特定する
この作業により、システムに求められる機能や優先度が整理され、設計の精度が格段に向上します。
4.2. 関係者との共通認識づくり
自社システムの開発は、経営層・業務部門・IT部門など、複数の立場の関係者が関わるプロジェクトです。
それぞれの視点や目的が異なる中で、プロジェクトを円滑に進めるためには「共通認識の形成」が欠かせません。
- 開発の目的と背景
- システムのスコープ
- 優先順位
- 予算と期間の大枠
- 成功の定義
これらを明確にしたうえで定例会議やワークショップを活用し、各部署との認識をすり合わせておくと、プロジェクトの迷走を防げます。
4.3. 予算とスケジュールの大まかな計画立て
システム開発は往々にして、想定よりも時間もコストもかかるものです。
そのため、あらかじめ現実的な予算とスケジュール感を持っておくことが非常に重要です。
- 予算の上限を明確にしておく
- 段階的なスケジュールを想定する
- 最小機能でのスモールスタートを視野に入れる
余裕のない予算やスケジュールは、後々の品質低下や機能制限の原因になります。
初期段階で現実的な見通しを立てましょう。
4.4. 内製か外注か方向性を検討
システムをどのような体制で開発するかによって、進め方も必要なリソースも大きく変わります。
社内にエンジニアやIT知識のあるスタッフがいる場合は内製開発も選択肢になりますが、知識や技術が十分でなければリスクを伴うこともあります。
- 社内に開発・保守スキルを持つ人材がいるか
- 要件定義やプロジェクト管理が社内で可能か
- 長期的に社内で運用・改善できる体制があるか
開発体制の選定は、「作って終わり」ではなく「育てて使い続ける」視点で考えることが重要です。
なお、株式会社ブリエは自社システム開発の実績が豊富です。
開発を検討している場合や進め方に迷っている場合は、お気軽にご相談ください。
貴社に最適なプランを提案させていただきます。
5. 自社システム開発の全体フロー

自社システム開発は、多くの工程を経て段階的に進行するプロジェクトです。
各フェーズにはそれぞれ目的と役割があり、どこかが不十分なまま次に進むと、後工程で手戻りが発生するリスクが高まります。
- 要件定義
- 基本設計/詳細設計
- 開発
- テスト/検証
- 導入/運用開始
- 保守/改善
ここからは、一般的な開発フローに沿って、各工程で何を行うべきかを解説します。
5.1. 要件定義
要件定義は、システムに何を求めるかを明確にする工程です。
現場の業務課題や目指す業務改善の方向性をもとに、「必要な機能」「処理フロー」「利用者の操作環境」「連携する外部システム」などを具体化します。
ヒアリング・業務フロー図・ユースケースなどを活用して、関係者との認識のズレを防ぎます。
要件の粒度が粗すぎたり、関係者の合意がないまま進めたりすると、後々の仕様変更や開発遅延につながります。
- 各部門の代表者を交えて合意形成を図る
- 「要件」と「要望レベル」に分類し、優先度を明確にする
- 開発会社と要件を共有しながら、ドキュメントに残す
5.2. 基本設計/詳細設計
基本設計では、要件をもとに画面構成、操作フロー、システム構成、データベース構造などを設計します。
詳細設計では、各機能の処理内容やデータの流れ、入出力項目、エラーハンドリングなど、実装レベルまで落とし込んで設計します。
設計の質がそのままシステムの品質に直結するため、業務部門との確認とフィードバックのやり取りが欠かせません。
- 業務部門との設計レビューを複数回実施する
- プロトタイプやワイヤーフレームを使って認識をすり合わせる
- 拡張性・保守性を意識して設計をドキュメント化する
5.3. 開発
設計に基づいてプログラムを実装する工程です。
開発手法としてはウォーターフォール型、アジャイル型、プロトタイプ型などがあり、プロジェクトの規模や業務の性質によって選択されます。
システム開発会社に委託する場合でも、進捗や品質のチェックを怠ると、納品後に大きな不具合が発覚する可能性があります。
進捗管理、コードレビュー、中間デモなどで密に連携を取りましょう。
- アジャイル/ウォーターフォールなど適切な開発手法を選ぶ
- 中間成果物を都度確認し、フィードバックを反映させる
- 内製・外注問わず、進捗や品質を見える化する
5.4. テスト/検証
開発が完了したら、システムが仕様通りに動作するかを確認するためのテストを行います。
単体テスト(モジュール単位)、結合テスト(モジュール間連携)、総合テスト(全体シナリオ)、ユーザテスト(実業務に即した検証)など、複数段階に分けて実施するのが一般的です。
不具合の発見・修正を繰り返すことで、安定稼働に近づけていきます。
- 実業務に近いテストデータとシナリオを用意する
- 開発者以外の第三者による検証で客観性を確保する
- 発見された不具合をすぐに開発側と連携して修正する
5.5. 導入/運用開始
テストを経てシステムが完成したら、実際の業務環境に導入します。
この際、社内ユーザへの説明会・操作研修・マニュアル配布などの教育施策も必要です。
導入初期は想定外のトラブルが起こることもあるため、初期サポート体制や対応フローを整えておくと安心です。
必要に応じて、旧システムとの並行稼働や段階的な切り替えも検討しましょう。
- 試験運用期間を設けて、本番導入前に課題を洗い出す
- 何かあったときの「連絡ルート・対応責任者」を明確にしておく
- 現場の声を積極的に聞き、早期改善を意識する
5.6 保守/改善
運用開始後も、システムの改善や環境変化への対応は継続的に発生します。
法制度改正への対応、新しい業務フローの追加、バージョンアップ対応など、システムを「使い続けられる状態」に保つことが保守業務の本質です。
また、ユーザの声を定期的に吸い上げ、改善サイクルを回していくことも、長期的な運用の成功には不可欠です。
- 契約時から保守体制を設計する
- 利用状況を定期レビューし、改善サイクルを回す
- 機能改善やUI改修を小刻みに実施して使いやすさを維持する
自社システムの開発は、要件定義から保守・改善まで、複数のフェーズを順を追って進める長期的なプロジェクトです。
各工程での丁寧な合意形成と現場とのすり合わせが、後戻りやトラブルの防止につながります。
特に要件定義と設計段階では、現場と開発側の認識ズレを防ぐことが重要です。
開発中も進捗と品質を見える化し、関係者との密な連携を取りながら進行することで、想定外のリスクを最小限に抑えられます。
また、導入後も継続的な保守と改善を前提に運用することで、システムの価値を長く活かし続けることができます。
6. 自社システム開発で失敗しないための注意点

自社システムの開発には多くの労力とコストがかかるため、失敗は大きな損失につながります。
成功のためには、事前準備やプロジェクト運営における「落とし穴」を回避する視点が欠かせません。
- 要件が曖昧なままスタートしない
- 社内/現場を巻き込まずに開発を進めない
- スケジュールを楽観的に見積もらない
- すべてを一度に作ろうとしない
- 保守/運用を後回しにしない
ここでは、特に注意したいポイントを紹介します。
6.1. 要件が曖昧なままスタートしない
「とりあえず開発を始めて、あとで調整しよう」という姿勢は、システム開発では非常に危険です。
要件が不明確だと、開発途中で何度も仕様変更が発生し、コストやスケジュールが大幅にずれ込む原因になります。
- 仕様変更により工数が増大し、納期や予算が大幅に超過する
- 開発途中で要望が変わり、優先順位が混乱する
- システムの完成後に「実際の業務に合っていない」と判明する
- 要件定義書/業務フロー図/画面イメージを作成して関係者間で合意する
- 「必須要件」と「要望レベル」に分類して優先順位を明確にする
- すり合わせ不足を防ぐため、開発会社とのすり合わせを入念に行う
要件定義の段階で、関係者の合意と具体的な機能の洗い出しを徹底しておくことが基本です。
6.2. 社内/現場を現場を巻き込まずに開発を進めない
IT部門や経営層だけでプロジェクトを進めると、現場での使い勝手や実務との乖離が生じやすくなります。
最終的に「現場が使ってくれないシステム」になるリスクを避けるためにも、初期段階から現場担当者の声を吸い上げ、ユーザ目線での開発を心がける必要があります。
- 操作や手順が複雑になり、現場で使われなくなる
- 想定外の運用ミスが多発し、業務効率が下がる
- 導入後に現場から強い反発を受け、システムの再開発を迫られる
- 要件定義フェーズで現場ユーザの意見をヒアリングする
- 開発途中でも現場とのレビューを定期的に実施する
- テスト導入時には、実業務での操作感をフィードバックしてもらう
プロジェクトメンバーに現場代表を加えるなど、実務と密接に連携できる体制を整えましょう。
6.3. スケジュールを楽観的に見積もらない
「半年で完成予定だったのに、気づけば1年を超えていた」というケースは少なくありません。
これは初期の見積もりが甘かったり、後半に手戻りが発生したりするためです。
- 想定外の不具合や修正対応に時間を取られ、納期遅延
- スケジュールに余裕がなく、検証や教育の時間が削られる
- 焦りから品質が犠牲になり、リリース後のトラブルが増加
- 各工程に予備日を設ける
- 進捗が遅れた場合の対応フローを決めておく
- 開発会社にも実現可能なスケジュールかを確認し、擦り合わせる
開発スケジュールは余裕を持って計画し、あらかじめ組み込むことで急な仕様変更やトラブルにも柔軟に対応できます。
6.4. すべてを一度に作ろうとしない
システム開発では「あれもこれも」と機能を詰め込みすぎると、開発の難易度が一気に上がります。
理想の完成形を一度に目指すのではなく、まずは最小限の機能でリリースする「スモールスタート」が推奨されます。
- 開発期間が長期化し、途中でニーズや業務フローが変わってしまう
- 複雑すぎて現場が使いこなせず、結果的に使われない機能だらけになる
- 予算超過で、計画していた拡張フェーズに手が回らなくなる
- 最小限の機能で早期リリースする戦略を取る
- 基幹業務を先、周辺業務を後にするなど、段階的導入を計画する
- 使いながら改善していく視点を組み込む
実際の利用状況を見ながら段階的に機能追加していく方が、無駄が少なく済んだり現場とのギャップを抑えられたりします。
6.5 保守/運用を後回しにしない
「とりあえず開発が終わればいい」という発想では、長く使えるシステムにはなりません。
むしろ、リリース後の運用体制やメンテナンス方針こそ、開発と同じくらい重要です。
- 障害発生時に「誰も対応できない」状態に陥る
- 小さな業務変更にも対応できず、徐々に使われなくなる
- 担当者の退職でノウハウが消失し、ブラックボックス化する
- リリース前に、保守体制や対応フロー、問い合わせ窓口を整備しておく
- 社内の運用担当者を育成・任命し、ドキュメントを蓄積
- システム開発会社と保守契約を締結し、継続的な支援体制を確保する
保守費用・担当体制・トラブル対応フローを事前に設計し、運用フェーズでも安定して機能するように備えておきましょう。
7. 自社システムの開発に適したシステム開発会社の選び方

自社システムの開発を外部に委託する場合、開発パートナーの選定はプロジェクトの成否に直結します。
開発会社ごとに得意分野・開発手法・対応姿勢は大きく異なるため、「技術力」だけに注目するのではなく、複数の観点から総合的に見極めることが重要です。
- 自社の業界/業務への理解度
- 技術力だけでなく提案力があるか
- 担当者の対応の丁寧さとスピード感
- 契約形態と費用感の透明性
- 保守/運用サポート体制の充実度
ここからは、自社システムの開発に適したシステム開発会社の選び方を解説します。
7.1. 自社の業界/業務への理解度
開発会社が自社の業界や業務プロセスへの理解を持っているかどうかは、設計の妥当性や提案の質に直結します。
特に専門性の高い業界では、業務の流れや用語に精通しているかどうかが、スムーズな要件定義に大きく影響します。

- 過去に自社と同業界での開発実績があるか
- 業務プロセスや専門用語について的確な理解があるか
- 事例紹介やヒアリングの際に、業務背景に配慮した質問があるか
- 顧客リストや導入実績などの具体例を提示してくれるか
7.2. 技術力だけでなく提案力があるか
単なる「指示通りの開発」ではなく、業務課題に対してより良い解決策を提示できる提案力が重要です。
開発会社が本質的な業務改善に関心を持ち、能動的に提案してくれる姿勢があるかどうかを見極めましょう。

- 要件が曖昧な段階でも具体的な方向性を提案してくれるか
- 仕様の背景にある業務課題まで踏み込んでヒアリングしてくれるか
- 対応が困難な場合に、代替案を提示してくれるか
- 提案資料に「根拠/比較/費用対効果」が含まれているか
7.3. 担当者の対応の丁寧さとスピード感
開発中は、仕様変更・調整・テスト・運用などで頻繁に連絡が発生します。
この際、担当者のレスポンスの早さや説明の丁寧さが、プロジェクトのストレス軽減と成功の鍵になります。

- メールや問い合わせへの返信は迅速か
- 専門用語をかみ砕いて説明してくれるか
- 初回の打ち合わせから好印象で、信頼できる対応だったか
- 進捗報告や定例連絡などの情報共有がしっかりしているか
7.4. 契約形態と費用感の透明性
開発プロジェクトでトラブルになりやすいのが「費用」に関する部分です。
契約条件が曖昧だと、想定外の追加費用が発生したり、納品範囲をめぐって揉めたりするリスクがあります。

- 見積もりの内訳が明確か
- 要件変更時の追加費用のルールが明記されているか
- 契約書や業務委託契約に抜け漏れがないか
- 月額保守費用/運用費用なども事前に提示されているか
7.5 保守・運用サポート体制の充実度
システムは導入して終わりではなく、運用を通して価値が高まります。
トラブル発生時や業務変更への対応など、開発後の支援体制が整っているかを必ず確認しましょう。

- 障害対応や問い合わせ窓口は明確に用意されているか
- 月額保守契約や年間サポート契約など、継続的な支援メニューがあるか
- 稼働後の改善提案や定期レビューの仕組みがあるか
- 保守内容と対象範囲は明記されているか
システム開発会社選びは、双方が対等なパートナー関係を築けるかどうかにかかっています。
見積額や会社規模だけで判断するのではなく、対応姿勢・信頼感・将来の運用までを見据えて、慎重に選定しましょう。
8. 自社システム開発の相談なら「ブリエ」

自社にフィットした業務システムを構築したいと考えていても、「何から始めればいいのかわからない」「パートナー選びに迷っている」という声は多く聞かれます。
システム開発には専門的な知識だけでなく、業務フローへの深い理解や現場視点の調整力が求められます。
だからこそ、相談先には「業務理解に強い開発会社」を選ぶことが重要です。
株式会社ブリエは、業務改善に直結するシステムの企画・開発を多数手がけてきた実績があります。
企業ごとの業務特性に寄り添い、現場に根づくシステムづくりを支援させていただきます。
現場視点の業務分析に強い
業務プロセスを丁寧にヒアリングし、本当に使えるシステムを設計します。ローコード開発にも対応
スピードと柔軟性を両立した開発手法で、コストと時間の最適化を実現。導入後の改善・運用もサポート
保守・運用フェーズまで継続的に伴走し、業務に合わせて進化させていきます。中小企業から大手企業まで対応実績多数
業種・業態を問わず、さまざまな業務システムを開発・改善したノウハウがあります。
自社システムの導入や開発を検討中の方は、ぜひ一度ブリエにご相談ください。
現場と経営の本音に寄り添った、最適なシステム設計をサポートします。
9. まとめ
- 独自業務や業種特有の処理に対応できる
- 現場ニーズや使い勝手を細部まで反映できる
- 操作が直感的で、教育コストを抑えられる
- サービス終了や仕様変更のリスクを避けられる
- 自社の判断で柔軟な機能改修・追加ができる
- 業務の属人化を解消し、標準化が進む
- 初期投資/開発期間の負担が大きい
- 要件定義や部署間調整が複雑化しやすい
- 継続的な保守/運用体制が必要
- 社内に最低限のITスキルや知識が求められる
- 【要件定義】 現場の声を吸い上げて必要機能を洗い出し、優先順位を明確化
- 【設計】操作画面・データ構造・機能詳細を設計し、業務部門と認識合わせ
- 【開発】開発手法を適切に選択し、進捗を見える化
- 【テスト・検証】総合テスト・ユーザテストで仕様通りに動作するかを徹底確認
- 【導入・運用開始】現場研修・マニュアル整備・初期サポート体制の構築が重要
- 【保守・改善】ユーザの声を反映し、改善サイクルを継続的に回す
- 経営層と現場の両方を巻き込む
- 要件定義段階でしっかりと合意形成する
- プロトタイプやワイヤーフレームで早期に認識をすり合わせる
- スモールスタートでリスクを分散する
- システム開発会社との連携体制を築く
自社システム開発は、業務に最適化された仕組みを構築できるという大きな魅力がある一方で、初期コストや要件調整、継続運用などの面で高いハードルも伴います。
しかし、各工程を丁寧に進め、関係者としっかりと連携しながら進行することで、「現場に本当に役立つシステム」を実現することは十分可能です。
既存のシステムやサービスに限界を感じている企業こそ、自社に合ったシステムを構築することで、生産性向上や業務効率化の大きな一歩を踏み出せるでしょう。

株式会社ブリエ代表取締役。Webデザイン、WordPress、Elementor、DTPデザイン、カメラマンなどを経て、FileMakerエンジニアとなる。企業の経営課題であるDX化、業務効率化、ペーパーレス化、情報の一元管理など、ビジネスニーズの変化に合わせてFileMakerで業務システムを開発し、柔軟に拡張して解決いたします。