
FileMakerエンジニア

啓蟄という言葉をご存じでしょうか。
こちらは読み方を「けいちつ」といい、季節の移り変わりを知るため、1年を24つに分割した二十四節気のうちのちょうど今頃(例年3月5日~3月19日ごろ)となります。
あまり聞きなれない言葉ですし、漢字からも意味を想像しづらいと思います。
言葉としてその使い方はわかっていても、意味まで理解しているものは、意外と多くないのかもしれません。
日常の何気ない言葉にも意味があるように、FileMaker(ファイルメーカー)の機能を1つとっても意味があるものなので、Briller FileMaker Laboratory(BFL)を通じて、その理解がより深まりますよう、今回もよろしくお願いします。
目次
テーマ
今回のテーマは「詰められない空白文字の調査」です!
詰められない空白文字ときいて、何のことかと首をかしげてしまうかもしれませんが、こちらを知っておくとFileMaker(ファイルメーカー)以外のプログラミングにも役立ちますので、是非とも記事を読んでいってください。
空白文字について
まずは空白文字についての定義を確認します。
空白文字は文字通り空白となる文字のことで、多くのキーボードではスペースキーを押すことによって空白文字(スペース)が入る仕様となっております。
普段使う分にはこのスペースのみで事足りますが、言語やコンピュータによっては空白文字の定義が違う場合もあり、空白文字の種類は決して1つではありません。
詳しくはWikipediaに空白文字の記事がありますのでそちらを参照ください。
文字詰めについて
文字詰めはカーニングと呼ばれる、DTPデザインにおける字間調整のことです。
FileMaker(ファイルメーカー)ではあまり意識することはありませんが、以下の画像のようにテキストの後ろにアイコンを表示させたボタンの名称に対して、文字列最後にスペースを含んでもアイコンがずれることはありません。
こちらが文字詰めされている状況となります。

上記は文字詰めを確認するために空白文字はスペースで行いました。
次は別の空白文字で確認してみます。

お判りいただけますでしょうか。
空白文字の種類を変えると、文字列とアイコンの間が空くようになりました。(幅がわかりやすいように連続で文字入力しております)
このようにFileMaker(ファイルメーカー)には文字詰めが行われる空白文字とそうでないものが存在します。
今回の検証では、Unicodeで空白文字と定義(White SpaceがYes)されている25文字中、改行とオガム文字を除外した計17文字で調査をさせていただきますのでよろしくお願いします。
環境
検証するにあたっての環境を紹介します。
今回はスペックはあまり関係ないので外して、代わりにOSの表示言語を掲載しております。
ソフトウェア:FileMaker Pro 21.1.1.41
OS:Windows 11 Pro(24H2)
Windowsの表示言語:日本語(文字コード:Unicode、符号化方式:UTF-16)
検証方法
ファイルの準備
まずは下図のようなファイルを用意します。
今回もレイアウトのみの操作となりますのでテーブルやフィールドの設定は特にしません。
ボタン(右アイコン)を配置し、名称に文字列+”空白文字(5文字分)”を設定します。
ボタンの右側に入力した空白文字の内容を記述し、文字詰めがされない場合は赤色で表示します。

空白文字リスト
今回調査する空白文字のリストになります。
前述した通り、Unicodeで空白文字と定義(White SpaceがYes)されている25文字中、改行とオガム文字を除外した計17文字となっております。
名前 | Unicode | 実体 | 説明 |
CHARACTER TABULATION | U+0009 | 水平タブ | |
SPACE | U+0020 | スペース | |
NO-BREAK SPACE | U+00A0 | ノーブレークスペース | |
EN QUAD | U+2000 | en クワッド(2 分の 1em) | |
EM QUAD | U+2001 | em クワッド(em は現在のフォントの高さ) | |
EN SPACE | U+2002 | en スペース | |
EM SPACE | U+2003 | em スペース | |
THREE-PER-EM SPACE | U+2004 | 3 分の 1em 幅のスペース | |
FOUR-PER-EM SPACE | U+2005 | 4 分の 1em 幅のスペース | |
SIX-PER-EM SPACE | U+2006 | 6 分の 1em 幅のスペース | |
FIGURE SPACE | U+2007 | 固定幅の数字と同じ幅のスペース | |
PUNCTUATION SPACE | U+2008 | ピリオドと同じ幅のスペース | |
THIN SPACE | U+2009 | 6 分の 1em ~ 4 分の 1em のシンスペース | |
HAIR SPACE | U+200A | シンスペースよりさらに狭いヘアスペース | |
NARROW NO-BREAK SPACE | U+202F | 狭い改行無しスペース | |
MEDIUM MATHEMATICAL SPACE | U+205F | 中程度の数学的(18 分の 4em)スペース | |
IDEOGRAPHIC SPACE | U+3000 | 表意文字スペース |
検証結果
検証を行った結果、下図のようになりました。
文字詰めが行われている上3つと下1つは文字列とアイコンの間が空いておりませんが、それ以外の空白文字は全て間が空いており、幅もまちまちとなっておりました。

まとめ
まとめると以下のようになります。
文字詰めがされる空白文字
・水平タブ(U+0009)
・スペース(U+0020)
・ノーブレークスペース(U+00A0)
・表意文字スペース(U+3000)
文字詰めがされない空白文字
・en クワッド(2 分の 1em)(U+2000)
・em クワッド(em は現在のフォントの高さ)(U+2001)
・en スペース(U+2002)
・em スペース(U+2003)
・3 分の 1em 幅のスペース(U+2004)
・4 分の 1em 幅のスペース(U+2005)
・6 分の 1em 幅のスペース(U+2006)
・固定幅の数字と同じ幅のスペース(U+2007)
・ピリオドと同じ幅のスペース(U+2008)
・6 分の 1em ~ 4 分の 1em のシンスペース(U+2009)
・シンスペースよりさらに狭いヘアスペース(U+200A)
・狭い改行無しスペース(U+202F)
・中程度の数学的(18 分の 4em)スペース(U+205F)
U+2000番台が文字詰めの対象外になるのでしょうか。
このデータだけですと、そのようにも見えますが、空白文字は今回挙げさせていただいたもの以外にも多くの種類がありますので、気になる方は調べてみてください。
ちなみに文字列とアイコンの間は空白文字を使用しなくても、インスペクタパネルのインデントを操作することで空けることは可能です。
ただし空白文字を入れる利点は、ボタンバーとフィールドを組み合わせることで、スクリプトステップから動的に字間を調整できる(レイアウト操作はこれができない)ので、あまり活用する場面もないとは思いますが、FileMaker(ファイルメーカー)の小技として覚えてもらえれば嬉しいです。
以上が【BFL vol.4】FileMakerの詰められない空白文字を調べてみたの検証となります。
ここまで読んでくださって誠にありがとうございました。また次回のBFLもお楽しみに!
また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
FileMakerでの実装は可能かどうかのご相談もお気軽にお問い合わせください。

株式会社ブリエFileMakerエンジニア。ローコード開発を筆頭にプロコードからフロントエンドまで、多種多様な開発経験を活かしたフットワークの軽さが自慢のオールラウンダー。より便利に、より使いやすいUI/UXデザインをモットーに、新しい分野にも積極的に挑戦することで、あらゆるニーズに柔軟に対応できるよう、日々勉強を続けております。