FileMakerエンジニア
「物件はたくさんあるのに、希望条件に合う物件がパッと出てこない……」
「また進捗漏れ。誰がどこまで対応したか、Excelを何個も開かないとわからない……」
販売物件約200件を扱う不動産会社では、こうした悩みが繰り返されていました。
本記事では、この不動産会社がFileMaker(ファイルメーカー)を導入し、Excel管理の限界を突破して「進捗漏れゼロ」と「一元管理」を実現した成功事例を詳しく解説します。
製造現場の工程管理や部品管理をExcelで行っているIT担当者の方にとっても、自社の業務効率化を具体的にイメージできる内容となっています
- 物件台帳・顧客管理をExcelで別々に管理することで、なぜ業務に支障が出ていたのか
- FileMakerの双方向マッチング検索機能で、「記憶頼りの営業」からどう脱却したのか
- 契約進捗のアラート機能により、月5件の進捗漏れがどのようにゼロになったのか
- ダッシュボードを活用することで、社長が全案件をリアルタイムに把握できるようになった仕組み
- 不動産専用CRMや他社ローコードツールではなく、なぜFileMakerを選んだのか
- 物件情報と顧客情報をExcelで別々に管理しており、確認のたびにファイルを開き直している
- 物件と購入希望者のマッチングを担当者の記憶と経験に頼っている
- 契約フローのタスク漏れや進捗の遅れが月に数件発生している
- 社長や管理職が各担当者の案件状況を把握しきれていない
- FileMakerを活用して自社専用の営業管理システムを構築したい
目次
導入企業の概要
- 業種:不動産(売買仲介)
- 規模:従業員6名
- 管理物件数:約200件
- 拠点数:1拠点
- 既存運用:物件台帳・顧客管理ともにExcel管理
導入前の課題:物件Excelと顧客Excelが分断され、営業の質が上がらなかった
物件台帳のExcelと顧客管理のExcelは別々のファイルで管理されており、情報を確認するたびに複数のファイルを行き来しなければならない状態が続いていました。
課題① Excelファイルが重く、開くだけで業務が止まる
- 物件台帳と顧客管理のExcelファイルはデータ量が増えるにつれて動作が重くなり、ファイルを開くだけでも時間がかかる状態に
- 担当者それぞれが別々のファイルを持つことで情報が分散し、「最新の情報はどのファイルにあるか」がわからなくなる場面も
課題② 契約時の進捗漏れ・タスク抜けが月5件発生
- 与信審査・重要事項説明・契約書作成・引き渡し準備など多数のタスクを可視化できない
- 月に約5件の進捗漏れや対応の遅れが発生。担当者間で「あの件、どうなった? 」という確認が頻発し、営業活動に集中できない
課題③ 物件と購入希望者のマッチングを「人の記憶」で対応
- 「この物件に興味を持ちそうなお客様は誰か? 」「このお客様の希望条件に合う物件はどれか? 」を担当者の記憶と経験に頼って対応
- 条件の検索や絞り込みをExcelでおこなうには限界があり、商機の見落としが生じるリスクも
課題④ 社長が各担当者の案件状況を把握できない
- 社長が全体の案件状況を把握するには、担当者に直接確認するか各ファイルを開いて確認するしかない
- 商談中の案件が滞っていても気づくのが遅れ、フォローのタイミングを逃すことがあった
このまま放置すると起き得た経営リスク
Excel管理による課題を放置した場合、単なる業務非効率にとどまらず、次のような経営リスクに直結する可能性がありました。
- 進捗漏れが続くことで購入希望者の検討意欲が冷め、他社への流出リスクが高まる
- マッチングの精度が低いまま提案の質が改善されず、成約率が上がらない状態が常態化する
- 案件状況の把握が遅れることで、社長が経営判断の優先順位をつけられない
これらは「いつか改善したい課題」ではなく、「早めに手を打たないと売上に直結する問題」だと判断されました。
なぜ不動産専用CRMや他のローコードツールではなく、FileMakerを選んだのか
検討段階では、不動産業界向けの専用CRMサービスやノーコードツールも候補に挙がりました。しかし最終的にFileMakerでのフルカスタム開発を選んだ理由は明確でした。
市販の不動産CRMは賃貸仲介向けに設計されているものが多く、売買仲介特有の「与信審査フロー」「契約進捗の細かいステータス管理」「社長向けのダッシュボード設計」といった要件をそのまま実現するのが難しい状況でした。また月額費用が継続的にかかるため、長期的なコスト試算をするとFileMakerでの開発が有利と判断されました。
一般的なローコードツールは汎用性が高い反面、双方向マッチング検索のような独自ロジックの実装や、画面設計の自由度を求めると別途開発コストが発生します。「物件台帳と顧客台帳を双方向に検索する」という要件は、FileMakerのリレーション設計が最も自然に対応できる領域でした。
一度構築すれば月額ランニングコストを最小化できること、自社の業務フローをそのままシステムに落とし込めること、将来的に機能を追加・拡張しやすいことが決め手となりました。従業員6名という小規模ながら、自社固有の営業スタイルを維持したままDXを実現できる手段として、FileMakerが最適と判断されました。
解決策:FileMakerで物件・顧客・進捗・HP連携を一本化
こうした背景から株式会社ブリエが提案したのが、物件台帳・顧客管理・マッチング検索・進捗管理・HPへの物件情報連携データ出力をFileMakerで一元化するシステムです。複数のExcelファイルを行き来する運用をなくし、必要な情報のすべてをFileMaker上で完結させる設計にしました。
システムの内容(業務 × 機能 × 利用者)
営業担当者:物件台帳と顧客管理を一画面で参照
物件台帳には、販売物件ごとの所在地・価格・面積・構造・現況・担当者・商談状況を登録します。顧客管理には、購入希望者の氏名・連絡先・希望エリア・希望価格帯・希望条件・商談ステータス・対応履歴をすべて一画面で確認できる設計にしました。以前は別々のExcelファイルを行き来しなければ確認できなかった情報が、FileMaker上で物件と顧客を紐付けた状態で瞬時に参照できるようになりました。
営業担当者:双方向マッチング検索機能
本システムの中核となるのが、双方向のマッチング検索機能です。
物件側からの検索
特定の物件を選択すると、その物件の条件(エリア・価格帯・広さなど)に希望がヒットする購入希望者を自動で抽出します。「この物件、誰か興味を持ちそうなお客様は? 」という問いに、担当者の記憶に頼ることなくシステムが答えを出します。
顧客側からの検索
特定の顧客を選択すると、その顧客の希望条件に合致する物件を絞り込んで表示します。「このお客様に提案できる物件はどれか? 」を瞬時に確認でき、商談の質と速度が大幅に向上しました。
営業担当者:進捗管理・アラート機能
顧客管理画面には、契約フローに沿ったチェックボックスとステータス管理を実装しました。各フェーズ(初回接触・物件案内・与信審査・契約・決済・引き渡し)のステータスが一目でわかるほか、次のタスクに対するアラートが顧客一覧画面に表示される設計です。担当者は一覧画面を見るだけで「今日対応すべき案件はどれか」「滞っている案件はどれか」を瞬時に把握できます。
経営者・管理職:ダッシュボードで全案件を一目把握
社長・管理職向けのダッシュボードでは、商談中で進捗が滞っている案件の一覧と担当者、受注前・受注後の重要フェーズにある案件、担当者別の案件件数・ステータス分布を一画面で確認できます。担当者に個別確認しなくても経営判断に必要な情報がすべて揃う状態を実現しました。
事務担当:HPへの物件情報連携データ出力
物件台帳に登録した情報をもとに、自社HPの物件情報を更新するためのデータを出力する機能も実装しました。FileMakerで物件情報を更新すればHP連携用のデータも同時に最新化できるため、物件情報の二重入力・転記作業がなくなり、掲載情報の鮮度を保てるようになりました。
導入後の効果
システム導入の結果、次のような改善が実現しました。
| 内容 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 進捗漏れの発生件数 | 約5件/月 | 0件/月 |
| 物件・顧客情報の確認 | Excelを開かないと不明 | FileMakerで即座に参照 |
| マッチング対応 | 担当者の記憶頼り | 双方向検索で瞬時に抽出 |
| 社長の案件把握 | 担当者に個別確認が必要 | ダッシュボードで一目確認 |
特に大きな効果として表れたのが、進捗漏れの完全解消です。月に約5件発生していた対応漏れ・タスク抜けが0件になりました。不動産の売買取引では、対応の遅れが購入希望者の検討意欲の低下や他社への流出に直結するため、この改善が成約率の向上にも貢献したと考えられます。
また、情報がFileMaker上に集約されたことで、担当者間の情報共有が大幅にスムーズになりました。社長にとっては、ダッシュボードで全案件の状況を把握できるようになったことで、経営判断の優先順位をデータに基づいてつけられるようになっています。
物件も顧客も、今まではExcelを開かないと状況がわからなかった。今はダッシュボードを一目見れば全部わかるので、朝のミーティングが変わりました。
— 導入企業 担当者様FileMakerが選ばれる理由
カスタマイズ性の高さ
FileMakerはノーコード・ローコードで開発できるプラットフォームでありながら、レイアウトや機能のカスタマイズ性が非常に高いのが特長です。「物件の種別によって表示する項目を変える」「マッチング条件を自社の営業ルールに合わせて設定する」といった細やかなニーズにも柔軟に対応できます。現場の実務に合ったインターフェースを構築できるため、使いやすさ・定着率が高くなるのもメリットです。
スモールスタートが可能
FileMakerなら最小限の機能から短期間でリリース可能です。その後、運用しながら機能を拡張していく「段階的導入」ができるため、初期投資を抑えつつスピーディに現場の課題を解決できます。
内製化・運用のしやすさ
FileMakerは専門的なプログラミング知識がなくても、基本的な設計・修正が社内担当者でおこなえるという利点があります。「フィールドの追加」「出力条件の変更」「レイアウトの調整」など、ちょっとした改修が外注に頼らず対応することが可能です。業務の変化にも即時に対応できるため、運用コストの削減とスピード感のある改善サイクルを実現できます。
プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 要件定義・開発期間 | 約4ヵ月 |
| 開発費用 | 個別お見積り(お問い合わせください) |
| 使用技術 | FileMaker、FileMaker Server(ファイルメーカーサーバー) |
費用については要件・規模によって異なります。まずはお気軽にお問い合わせください。現在の運用状況をお伺いしたうえで、費用感の目安をご案内します。
この記事を読んでいる方、いくつ当てはまりますか?
- 物件情報と顧客情報をExcelの別ファイルで管理している
- 物件と購入希望者のマッチングを担当者の記憶や勘に頼っている
- 契約フローのタスク漏れや対応の遅れが月に複数件発生している
- 社長・管理職が全案件の状況をリアルタイムで把握できていない
- 不動産専用CRMを検討したが、自社の業務フローに合わなかった
- 少人数(10名以下)で多くの物件・顧客を管理している
まとめ
- 物件台帳・顧客管理・進捗管理・HP連携データ出力をFileMaker一本で完結
- 双方向マッチング検索で「記憶頼り」の営業から「データ活用」の営業へ
- チェックボックス・ステータス管理・アラートで進捗漏れを月5件→0件に
- ダッシュボードで社長・管理職が全案件をリアルタイムに把握
- 不動産専用CRM・他社ローコードツールと比較して、自社固有の業務フローに完全適合
今回の事例は不動産業のものでしたが、「情報の分断」や「属人化」という課題は様々な業種の現場でも共通の悩みです。FileMakerであれば、貴社独自の業務内容や特殊な管理ルールに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。 「Excel管理から脱却し、業務を可視化したい」とお考えの方は、ぜひ一度株式会社ブリエにご相談ください。
株式会社ブリエFileMakerエンジニア。今では開発に携わった件数も100件以上、建設業、造園業、設備業、土木業、引越業、運送業、製造業、幼稚園、保育園、サービス業、清掃業など様々な業種の開発を経験。どのような業務でもお客様と一緒に課題を考え、ベストな解決策をご提案します。キャンプとオムライスが好き。

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