FileMakerエンジニア
建設業の請求書処理では、単に文字や金額を正しく読み取るだけでは、業務の効率化につながらないケースがあります。
たとえば、「バックホウ0.7m3 リース料・保守サポート料一式」のように、1つの行に複数の費用がまとめて記載されている請求書。
こうしたデータをそのままOCRで読み取っても、業務上必要な「リース料」「保守サポート料」といった単位には自動で分かれません。
建設業では、取引先ごとに請求書のフォーマットや記載方法が異なるため、求められるのは「文字を正しく読むOCR」だけではなく、読み取った情報を自社の業務ルールに合わせて分解・整理し、後工程までつなげる仕組みです。
この記事では、建設業の請求書処理で起こりやすいこうした課題を具体例で紹介しながら、AI-OCRとFileMakerを組み合わせて、請求書の読み取りからデータの分解・整形、工事番号との紐付け、外部システムへの連携までをどのように自動化できるのかをご紹介します。
目次
請求書のデータ入力に時間がかかっている
建設会社では、取引先から届く請求書を担当者が一枚ずつ確認しながら手作業でシステムに入力している、というケースが少なくありません。
月間数十枚程度であっても、担当者が2〜3名程度の体制であれば、この作業だけでかなりの時間的リソースを占めてしまい、本来注力すべき業務にリソースを割けなくなってしまいます。
「OCRやAIを活用すれば自動化できるのでは」と考え、汎用的なパッケージ型OCRサービスのトライアルを実施した企業様も多いはずです。
しかし実際に試してみると、想定していたよりも読み取り精度が低く、結局は人の目で全件チェック・修正する必要があり、「これなら最初から手入力した方が早い」という判断に至ってしまいます。
このパターンは、建設業界の企業様から非常によくいただくお声の一つです。
なぜ汎用OCRのパッケージは精度が出ないのか
一般的なOCRパッケージは、請求書番号・日付・金額といった定型項目を読み取ることを前提に設計されています。
しかし建設業の請求書には、業界特有の癖があります。
- 取引先ごとにフォーマットがバラバラで、統一された帳票になっていない
- 「リース料」と「保守サポート料」のように、本来は別項目であるはずの費用が1行にまとめて記載されている
- まれに手書きの請求書が混在する
- 紙とPDFの両方で届く
こうした複雑な記載ルールは、汎用パッケージの読み取りロジックが想定していない例外パターンです。
結果として誤読や項目の取り違えが多発し、修正作業がかえって増えてしまいます。
つまり問題の本質は「OCR技術そのものの精度」ではなく、「自社の請求書の癖に合わせたチューニングができるかどうか」にあるケースがほとんどです。
実際の請求書サンプルで見てみる
言葉だけでは伝わりにくいので、建設業でよくある請求書のフォーマットを例に見てみましょう。
赤枠で囲った行に注目してください。
「バックホウ0.7m3 リース料(8月分)・保守サポート料一式」として、本来は分けて管理したい2つの費用(リース料/保守サポート料)が1つの金額にまとめられています。
汎用的なOCRパッケージは、この行を「品目1件・金額248,000円」としてしか認識できません。
解決の鍵は、「業務に合わせたカスタム開発」
この課題を解決するには、既製のOCRパッケージをそのまま導入するのではなく、自社の請求書の特性や業務フローに合わせて仕組みを組み立てることが重要です。
私たち株式会社ブリエでは、FileMaker(ファイルメーカー)を用いて、AI-OCRと業務ロジックを組み合わせたオーダーメイドの請求書処理システムを構築することができます。
FileMakerを選ぶ理由は、フルスクラッチ開発に比べて短期間・低コストで構築できながら、既製パッケージにはない柔軟なカスタマイズが可能な点にあります。
例えば、建設業ならではの以下のような要件にも個別に対応できます。
- 1行にまとめられた複数の費用項目を、あらかじめ設定したルールに沿って自動で分割・仕分けする
- 読み取った請求書データを工事番号と自動的に紐付け、案件ごとの管理をしやすくする
- OCRの読み取り結果を担当者が画面上で簡単に確認・修正できる、ミスの起きにくい入力補助画面を用意する
- 手書き文字が混在する請求書にも対応できるよう、読み取り方法を使い分ける
- 読み取り・整形が完了したデータをkintoneなど既存システムへ自動連携する
OCRを「入り口」として使いつつ、その後のデータ加工・工事番号との紐付け・他システムへの連携までを一気通貫で設計できる点が、汎用パッケージにはない強みです。
読み取り後、データはこう変わる
先ほどの請求書を実際にFileMaker×AI(Gemini)で処理をすると、以下のように取り込みができます。
赤枠の2行が、先ほどの「1行にまとめられていた費用」を自動で分割した部分です。
分割のルールは取引先や請求書のパターンに応じて個別に設計するため、貴社で実際に届く請求書の癖に合わせたチューニングが可能です。
場合によってはルールのマスタなどを作成する必要もあります。
また、注意点として100%の精度が出ないという点はどのAI-OCRを使用したとしても同じですので人での確認は必須となります。
できる限り入力をルールに基づき減らすということが完全カスタマイズでの開発の本質となります。
まとめ
建設業の請求書処理を自動化する際につまずきやすいのは、「OCRの精度」そのものよりも「自社特有の請求書フォーマットや業務フローに対応できる柔軟性があるかどうか」です。
過去に他社のOCRサービスを試して精度に満足できなかった企業様こそ、汎用パッケージではなく、FileMakerによるカスタム開発という選択肢をぜひご検討ください。
請求書処理の自動化、工事番号での案件管理、外部システムとの連携など、貴社の業務フローに合わせたシステムづくりについて、無料相談を承っております。
契約前のトライアル実施も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
実際に届く請求書を確認させて頂き、どの様にOCRで読み取るかをご相談いただくことも可能です。
また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
業務システムのセキュリティについてのご相談もお気軽にお問い合わせください。
多岐にわたる業種での経験を経て、現在はFileMakerを中心に活躍中のエンジニアです。ローコード開発を得意としながらも、Django、React、Flutterなどの技術にも挑戦し、幅広い開発スキルを習得。常に自分の技術を磨き、より良いソリューションを提供できるよう、継続的にスキルアップを図っています。多彩な技術を駆使して、クライアントのニーズに応える柔軟性と、迅速かつ効果的な開発力が強みです。








