
FileMakerエンジニア

新しい業務システムの導入は、業務効率化やDX推進の大きなチャンスです。
しかし、実際には「思ったほど効果が出ない」「現場に定着しない」といった失敗に陥る企業も少なくありません。
原因の多くは、システムそのものではなく、導入前の準備不足や社内体制の不備にあります。
- 業務システムの導入をゴールと勘違いしている
- 社内体制やリテラシーが整わないまま進行する
- 現場業務とシステムのギャップを軽視している
- DX推進の波に乗ってなんとなく導入する
本記事では、業務システム導入時によくある失敗の理由と具体的な事例を整理し、それらを未然に防ぐための効果的な対策を解説します。
- 業務システム導入で陥りやすい失敗パターンと背景
- 失敗を防ぐために準備段階で押さえるべきポイント
- 導入を成功に近づける実践的な方法と進め方
- 導入後の定着/活用を促進する体制づくり
- 成功事例から学べる導入プロジェクトのヒント
これから導入を検討する方はもちろん、過去に導入で苦い経験をした方にとっても、成功へと導くための実践的なヒントが見つかる内容です。
目次
1. 業務システム導入が失敗する理由とは

業務システムの導入は、企業の業務改革や生産性向上を目的に実施されますが、必ずしも成功するとは限りません。
多くの現場で「導入しただけで業務が改善される」と誤解されがちですが、実際にはその前提となる認識や準備に問題があるケースが多く見られます。
- 業務システムの導入をゴールと勘違いしている
- 社内体制やリテラシーが整わないまま進行する
- 現場業務とシステムのギャップを軽視している
- DX推進の波に乗ってなんとなく導入する
ここでは、業務システム導入が失敗に陥りやすい代表的な原因について整理します。
1.1. 業務システムの導入をゴールと勘違いしている
業務システムは導入して終わりではなく、そこから運用・定着・改善が始まります。
しかし「導入すれば改善される」という思い込みから、初期の立ち上げや定着支援が不十分になるケースが後を絶ちません。
導入したことで満足してしまい、その後の教育や活用促進が進まず、現場で活用されないシステムになってしまうのです。
- 導入を目的化し、その後の活用施策を考慮していない
- 教育や研修計画がなく
- 現場がシステムに不慣れなまま稼働する
- 定着支援や利用状況のモニタリングが行われていない
- 現場に十分な説明や巻き込みがなされず、当事者意識が生まれない
特にトップダウン型で導入された場合、現場との乖離が広がり、形骸化しやすくなります。
1.2. 社内体制やリテラシーが整わないまま進行する
ITに対する知識や運用体制が整っていない状態で導入を進めると、プロジェクトが頓挫したり、定着しなかったりするリスクが高まります。
中小企業においては、情報システム部門が存在しないことも多く、ベンダー任せになった結果、社内で使いこなせないという事態も起こりえます。
さらに、社内に「ITに詳しい人がいない」「推進役が不在」といった状況では、誰が主導して進めるのか不明確になり、プロジェクトが迷走します。
- システム導入の主導者や推進体制が不明確
- サポート体制が脆弱で、現場が孤立しやすい
- ベンダー依存が強く、社内で自走できない
- 操作や設定に関するナレッジが社内に蓄積されていない
特に多忙な現場社員に任せると、日常業務との兼ね合いで進行が遅れがちになるため、導入フェーズで大きな障壁となります。
1.3. 現場業務とシステムのギャップを軽視している
現場の実務に即していないシステムは、いくら機能が充実していても使われない可能性があります。
たとえば、入力項目が多すぎたり、ワークフローが実情に合っていなかったりすることで、むしろ業務の手間が増えてしまうなどです。
- 業務実態を十分にヒアリングせずに要件を決定している
- 現場にとって「使いやすい」「分かりやすい」仕様になっていない
- 入力や操作に手間がかかり、逆に生産性が下がっている
- 現場とIT部門・経営層の温度差が大きく、合意形成が不十分
経営層やIT部門だけで構想されたシステムは、現場のオペレーションや実務の流れと噛み合わないことが少なくありません。
1.4 DX推進の波に乗ってなんとなく導入する
「DXが重要だから」「補助金が出るから」といった外部要因で導入が進む場合、目的や課題意識が明確でないことが多く、失敗に直結しやすいです。
特に、導入そのものが目的化してしまうと、「何を解決するためのシステムか」が不明確なまま進んでしまい、運用フェーズで混乱を招きます。
- 課題の棚卸しや目的設定が曖昧なまま導入が進む
- 補助金や外部トレンドに引っ張られ、本質的な必要性を検討していない
- システムに合わせて業務を変えるのではなく、現場が戸惑うまま稼働
- 関係部署への説明や巻き込みが不足し、浸透しない
目的がない導入は、結果として「やらなくてもよかった」「現場の混乱だけが残った」という形になってしまいます。
2. 業務システム導入のよくある失敗例

業務システム導入は多くの企業にとってチャレンジングな取り組みです。
十分な準備や現場理解がないまま進めてしまうと、さまざまな失敗に直面します。
- 要件定義が曖昧なまま進んでしまった
- 業務現場の声を反映せずに導入した
- 自社に合わないシステムを採用してしまった
- 現状の業務フローを見直さずに導入した
- 導入後のサポート体制が不十分だった
- 操作教育やマニュアル整備が不十分だった
- 経営層と現場の意識のギャップが大きかった
- システム間の連携不備で業務に支障が出た
ここでは、導入現場で実際に起こりがちな失敗例を具体的に紹介します。
それぞれの背景にある共通課題についても見ていきましょう。
2.1. 要件定義が曖昧なまま進んでしまった
システム開発において最も重要な工程の一つである要件定義ですが、ここを曖昧なまま進めてしまうと、完成したシステムが実際の業務に適合しないという事態に陥ります。
特に中小企業では、業務の棚卸しや課題の言語化が不十分なままプロジェクトが始まってしまうことが多く、トラブルの原因となります。
失敗例:「見積管理をしたい」と伝えたが、必要な項目が登録できない仕様になった。
失敗の背景 |
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2.2. 業務現場の声を反映せずに導入した
現場の実態に合っていないシステムは、導入しても活用されず宝の持ち腐れになりがちです。
とくに利用者の声を聞かずに設計された場合、「業務が余計に面倒になった」という印象を持たれ、現場からの反発を招くケースもあります。
失敗例:操作フローが現場の業務とかけ離れ、「現場では使いにくい」と不満が噴出。
失敗の背景 |
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2.3. 自社に合わないシステムを採用してしまった
パッケージソフトや有名なクラウドサービスを導入すれば安心という考え方は危険です。
自社の業務内容や従業員のITリテラシー、運用体制に合っていなければ、導入しても業務が円滑に回らないという事態に陥ります。
失敗例:大手向けのERPパッケージを導入したが、業務の規模に合わず無駄が多かった。
失敗の背景 |
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2.4. 現状の業務フローを見直さずに導入した
業務プロセスに課題がある場合、システム導入はその課題を解消するチャンスでもあります。
しかし、現状のフローを精査せずにシステム化してしまうと、非効率な業務がそのまま残るリスクがあります。
失敗例:紙の申請フローをそのままシステム化したが、承認者が複雑すぎて混乱した。
失敗の背景 |
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2.5. 導入後のサポート体制が不十分だった
システムは導入すれば終わりではなく、運用開始後のトラブル対応や改善提案があってこそ本来の価値を発揮します。
しかし、導入時にサポート体制まで確認せずに進めてしまうと、問題が発生したときに業務がストップしてしまうリスクがあります。
失敗例:問い合わせ窓口が機能せず、エラーが起きた際の連絡先が分からなかった。
失敗の背景 |
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2.6. 操作教育やマニュアル整備が不十分だった
いくら優れたシステムでも、利用者が正しく使えなければ意味がありません。
導入後のトレーニングやマニュアル整備をおろそかにすると、現場が混乱し、システムが形骸化する原因となります。
失敗例: 現場が新システムを使いこなせず運用に支障がでたため、旧システムとの併用が続いた。
失敗の背景 |
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2.7. 経営層と現場の意識のギャップが大きかった
システム導入においては、経営層の視点と現場の視点のバランスが求められます。
経営層が目指す「全体最適化」と、現場が求める「業務効率化」にずれがあると、導入目的が社内で共有されず、システムの定着に失敗するリスクが高まります。
失敗例: 経営層は見える化に満足していたが、現場では入力作業が煩雑になり反感を買っていた。
失敗の背景 |
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2.8. システム間の連携不備で業務に支障が出た
複数の業務システムを導入している場合、それぞれのシステムが連携していなければ業務が分断されてしまいます。
連携が不十分なまま新たなシステムを導入すると、入力の手間や整合性確認の工数がかえって増え、業務の非効率化につながります。
失敗例: 在庫管理と販売管理システムが連携しておらず、二重入力によるミスが頻発。
失敗の背景 |
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3. 業務システム導入の失敗防止に向けた準備段階での対策

業務システム導入における失敗を防ぐためには、「導入前の準備」が極めて重要です。
この段階での認識のズレや見落としが、その後の運用フェーズで大きな問題となって表面化するケースは少なくありません。
- 導入目的と期待効果を社内で共有/可視化する
- 関係部署を巻き込んで共通認識をつくる
- 現行業務のフローを洗い出し、課題を明確にする
- 社内リソースとスケジュールを整理する
- 適切なシステム開発会社を選定する
ここでは、導入前に行うべき基本的な準備と対策について、5つの観点から解説します。
3.1. 導入目的と期待効果を社内で共有/可視化する
導入の目的が不明確なままでは、プロジェクトが迷走しやすく、関係者の認識もバラバラになりがちです。
まずは「なぜ導入するのか」「何を実現したいのか」を明文化し、全社で共有しましょう。
- 数値で示せるKPI(例:処理時間30%削減)を設定する
- コスト削減や属人化の解消など、目的を具体的に言語化する
- プロジェクト全体に共通する指針として活用する
3.2. 関係部署を巻き込んで共通認識をつくる
システムは一部門のためのものではなく、複数部署の連携が必要になるケースも多くあります。
現場・中間管理職・経営層といった立場の異なるメンバーが、初期段階から参画することで、認識のズレを最小限に抑えられます。
- 部門横断プロジェクトチームを設置する
- 意見収集のためのヒアリングやワークショップの開催する
- 月次の情報共有会を開催して進捗報告や意見交換を行う
3.3. 現行業務のフローを洗い出して課題を明確にする
現状の業務プロセスがどのようになっているのかを「見える化」することは、最適なシステム選定・設計の出発点になります。
手作業が多い部分や、二重入力、属人化しているプロセスを明らかにしましょう。
- フローチャートなどを用いた業務フロー図を作成する
- 工数やボトルネックを数値(例:見積作成に平均30分)で把握する
- 「この作業、誰が何のためにやってる?」という観点で掘り下げる
3.4. 社内リソースとスケジュールを整理する
どれだけ良いシステムでも、導入・定着に時間と人手が必要です。
普段の業務を圧迫しないように、リソースやスケジュールを現実的に設計しておくことが成功のカギとなります。
- 専任の担当者または推進リーダーを選任する
- トレーニング期間/マニュアル作成期間を確保する
- 他業務と並行する場合の負荷を分散する
3.5. 適切なシステム開発会社を選定する
要件がまとまったら、いよいよ開発会社やベンダー選びです。
ここでの選定ミスは、そのまま「失敗事例」に直結します。
価格や知名度ではなく、業務理解や対応力で判断しましょう。
- 類似業種や業務での導入実績があるか
- 自社課題に対する提案力・柔軟性があるか
- 担当者の対応スピードやコミュニケーションの質は良いか
4. 業務システム導入を成功させるための実践的な対策

業務システム導入の失敗を回避するには、表面的な準備だけでは不十分です。
現場の声を取り入れながら、組織全体で実行可能な対策を講じることが重要です。
- スモールスタートとPoC(概念実証)の実施
- 要件定義の段階で現場の声を丁寧に拾う
- プロトタイプ開発で運用イメージを明確にする
- テスト導入で段階的な運用をする
- 教育/マニュアル/サポートの体制を整える
ここからは、成功に近づけるための具体的な対策を紹介します。
4.1 スモールスタートとPoC(概念実証)の実施
システム導入においていきなり本番環境で全社導入を行うのはリスクが高く、現場の混乱を招く恐れがあります。
そのため、まずは小規模な部署や業務に限定した「スモールスタート」や「PoC(概念実証)」から始めることが重要です。
- 限られた範囲で導入し、効果や課題を検証する
- 本格導入前に現場のフィードバックを収集し改善する
- 導入の成功体験を社内で共有することで理解と期待感を高める
段階的な展開によって、業務フローとの整合性を高めながらスムーズに拡大できます。
4.2. 要件定義の段階で現場の声を丁寧に拾う
システムの使い勝手や定着率は、現場の要望をどれだけ反映できるかに大きく左右されます。
要件定義段階から現場の実務担当者を巻き込み、詳細な業務内容をヒアリングする姿勢が求められます。
- 日常業務で感じている課題や非効率な作業を洗い出す
- ヒアリング内容をもとに必要な機能や運用ルールを明文化
- 実運用に即した画面設計や操作性を追求する
現場を置き去りにしない設計こそが、導入後の使われるシステムにつながります。
4.3. プロトタイプ開発で運用イメージを明確にする
プロトタイプを活用した段階的な開発は、完成形のイメージを関係者と共有するうえで非常に有効です。
口頭の説明や仕様書だけでは理解しにくい運用イメージも、実際に触れてみることで明確になります。
- モックアップやデモ版を用いて、フィードバックを行う
- UI/UXの改善点を事前に洗い出し、設計に反映させる
- 実際のデータを使ったシミュレーションをする
プロトタイプは現場とのズレを最小限に抑える重要な手段です。
4.4. テスト導入で段階的な運用をする
本番導入の前に、実際の業務フローを想定したテスト導入を行うことで、運用上の課題やトラブルを事前に洗い出せます。
- 限られたユーザで操作/入力テストを実施
- データ整合性や連携機能の不具合を確認
- エラー発生時の対応フローや責任分担を明確にする
導入の「リハーサル」を通じて、安心感をもって本番展開へ移行できます。
4.5. 教育・マニュアル・サポート体制を整える
どんなに優れたシステムでも、使いこなせなければ意味がありません。
導入後の教育やサポート体制も、事前にしっかりと計画・設計する必要があります。
- 操作研修やレクチャー動画の作成を行う
- トラブル時に対応できるFAQ・問い合わせ窓口を設置する
- 利用状況を可視化し、フォローアップのタイミングを逃さない
運用開始後の困りごとに即応できる体制づくりが定着の鍵となります。
5. 業務システム導入の失敗を防ぐために必要な視点と体制

システム導入の成否は、単なる「導入作業」だけでなく、導入を成功に導くための社内体制や意識にも大きく左右されます。
- ツール導入ではなく「業務改革」として捉える
- 経営層がコミットし現場を巻き込む推進体制を作る
- 小さな成功体験を積み上げる導入手法を選ぶ
- 現場とITの橋渡し人材を育てる
- 必要に応じて外部支援を活用する
ここでは、失敗を未然に防ぐために押さえておくべき視点と体制づくりのポイントを解説します。
5.1. ツール導入ではなく「業務改革」として捉える
システム導入を「IT化」ではなく「業務改革」として捉える視点が重要です。
道具を変えるだけではなく、業務そのものを見直す契機と考えると良いでしょう。
- 無駄な手作業/確認プロセスの削減を目指す
- 属人化した業務を標準化・共有化する
- システムを活かした新しい働き方を模索する
単なる置き換えにとどまらず、業務の再設計を前提とすることが本質的な改善につながります。
5.2. 経営層がコミットし現場を巻き込む推進体制を作る
プロジェクトを成功させるには、経営層の強い意思と現場の協力が不可欠です。
その橋渡しとなる推進体制を構築する必要があります。
- 経営層がビジョンやKPIを明示
- 部門横断でのプロジェクトチームを編成
- 現場のリーダーやキーマンを巻き込み主体性を持たせる
5.3. 小さな成功体験を積み上げる導入手法を選ぶ
大規模で一気通貫の導入よりも、小さな成功を積み重ねながら広げていくほうが定着と効果につながりやすくなります。
- 試験導入で成果を確認し社内で共有
- 成功事例を横展開し他部署の関心を高める
- 現場にとって成功体験となる導入成果を意識的に演出する
5.4. 現場とITの橋渡し人材を育てる
現場の業務知識とITリテラシーを兼ね備えた橋渡し役の存在は、導入の成否を左右する要因です。
- 社内SEやシステム推進担当を早期に育成
- 現場とのコミュニケーションを担う役割を明確化
- 現場の声を翻訳してシステム要件へ落とし込む
このような人材がいることで、ベンダーとのやりとりや社内調整もスムーズに進みます。
5.5. 必要に応じて外部支援を活用する
すべてを内製でまかなうことにこだわると、ノウハウ不足や体制の脆弱性が課題になります。
必要に応じて、システム開発会社など外部の専門家の力を借りる判断も必要です。
- 業務改善に強いITコンサルタントを起用
- システム開発だけでなく運用支援も視野に入れる
- プロジェクト全体のディレクションを支援してもらう
外部リソースを部分的に使うことで、自社の負荷やリスクを抑えることができます。
6. 業務システム導入の失敗防止につながるシステム開発会社選び

業務システム導入において、開発会社の選定は「成功」と「失敗」の分かれ道です。
ツールの完成度だけでなく、自社にとって伴走者となるパートナーかどうかを見極めることが重要です。
- 自社業務への理解があるか
- 課題解決力と柔軟な提案力があるか
- 保守/運用サポート体制の充実しているか
- 十分な実績や導入事例はあるか
- コミュニケーションが取りやすいか
ここでは、開発会社を選定する際に確認すべき視点を詳しく解説します。
6.1. 自社業務への理解があるか
システム開発会社が業務内容を深く理解していなければ、形だけのシステムが出来上がってしまうことがあります。
現場で機能しない「使われないシステム」になっては、業務システム導入の効果は得られません。

- 自社業界/業種に対する基礎的な理解があるか
- 打ち合わせ時に業務プロセスに対して具体的な質問や改善提案があるか
- ワークフローや業務課題に対する共感・分析力を感じるか
- 「この機能で本当に業務が楽になるのか?」という視点で会話ができるか
業務理解がある開発会社は、仕様書に書かれていない業務の肌感まで汲み取り、実践的なシステム設計につなげてくれます。
6.2. 課題解決力と柔軟な提案力があるか
要望通りに開発するだけでなく、潜在的な課題の発見や、選択肢の提示といった提案力を持つかどうかは非常に重要です。

- 提示した課題に対して、複数のアプローチを提案してくれるか
- 「この方法なら予算内で対応可能」といった代替案を提示できるか
- システム開発にとどまらず、業務設計や改善にも目を向けているか
- 運用現場の負担を考慮したUIや業務導線の工夫があるか
問題に直面した際に、ただ指示を待つのではなく、主体的に提案してくれる会社は、プロジェクト全体の成功率を高めてくれます。
6.3. 保守/運用サポート体制が充実しているか
導入して終わりではなく、運用が始まってからこそ本当の勝負です。
トラブル対応や改善要望に対して、迅速かつ丁寧な対応が可能な体制を持っているかを確認しましょう。

- 問い合わせや障害発生時のサポート対応フローが明確か
- 対応時間帯や手段は十分か
- リモート操作/画面共有によるトラブル対応などの仕組みがあるか
- 操作マニュアルや教育コンテンツの提供があるか
- 定期的なシステム改善提案をしてくれるか
保守体制が手薄な開発会社では、トラブル時に業務が止まり、かえって生産性を下げてしまうこともあります。
6.4. 十分な実績や導入事例があるか
実績や導入事例は、開発会社の「対応力」「信頼性」の証明です。
可能であれば、自社と同じような業種・課題への導入経験を確認しましょう。

- 同業界/同規模の企業に対する導入事例があるか
- 導入前後でどのような課題がどう改善されたかが明記されているか
- 口コミ/レビュー/導入企業の声が公開されているか
- 担当者名や実在する企業名が事例に含まれているか
- 自社の要望に近いシステムを開発した経験があるか
数字や成果の出ている事例があるかどうかで、信頼度が大きく変わります。
6.5. コミュニケーションが取りやすいか
コミュニケーションの質は、プロジェクトの進行・成果に直結します。
やり取りがスムーズで、柔軟な対応ができる担当者がいるかは、非常に重要なポイントです。

- ヒアリング時にこちらの要望を丁寧に引き出してくれるか
- 技術的な説明も専門用語を使わずに、わかりやすく話してくれるか
- 質問や相談へのレスポンスが早く、真摯な対応があるか
- 担当者が頻繁に変わらず、一貫したサポート体制があるか
- 定期的に進捗報告や確認を行ってくれるか
一方的な進行ではなく、「対話型」でプロジェクトを進められる開発会社を選ぶことが、結果的にミスマッチやトラブルを防ぐことにつながります。
7. 業務システム導入の失敗防止につながる導入後の対策

業務システムは導入しただけでは十分な効果を発揮しません。
本来の目的である業務改善や効率化を継続的に実現していくには、導入後のフォロー体制が極めて重要です。
- KPIや効果指標を設定する
- 継続的なフィードバック体制を整備する
- 社内に推進役を育てる
- 定期的な改善/アップデートをルール化する
- 部門間でのシステム活用を促す連携体制をつくる
ここでは、導入後に取り組むべき実践的な対策について、実例とともに解説します。
7.1. KPIや効果指標を設定する
業務システムの導入効果を「見える化」するためには、定量・定性のKPI(重要業績評価指標)を導入当初から明確にしておく必要があります。
KPIが曖昧なままでは、「導入して本当に効果があったのか」が判断できず、社内の納得感や継続的な改善につながりません。
- 書類処理時間の短縮率
- ヒューマンエラーの削減率
- 顧客対応のリードタイム改善
- 業務プロセスの自動化率や工数削減率
これらのKPIは、一度設定して終わりではなく、定期的にモニタリング・見直しを行うことがポイントです。
導入から3ヶ月、6ヶ月、1年といった節目ごとに振り返る仕組みを設け、PDCAを回すことで、継続的な業務改善につながります。
7.2. 継続的なフィードバック体制を整備する
システム導入直後は、現場でさまざまな課題が噴出するものです。
ユーザが使いこなせない、手間が増えたと感じる、操作に混乱が生じるなどの現場の声を拾い上げて、すばやく対応する体制を構築することが欠かせません。
- 毎週または隔週での現場ヒアリングミーティングの実施
- 社内チャットやフォームを活用した匿名フィードバック制度の導入
- 現場からの改善提案制度を設け、実行したものは共有/表彰
フィードバックは溜め込まず、すぐに社内で検討・判断するフローを構築しましょう。
反応の早さが「改善される文化」への信頼感につながります。
7.3. 社内に推進役を育てる
新しいシステムを継続的に活用するには、システムを理解し、現場に浸透させる役割を担う「推進担当」の存在が不可欠です。
特に現場主導で動ける人材が社内にいることで、ベンダー任せにならず、自社にとって最適な運用方法を模索し続けることができます。
- システム利用状況のモニタリング
- 利用者からの質問/課題への一次対応
- 新機能の周知やマニュアルの整備
- ベンダーとの調整/要望集約
理想は、各部門に推進担当を配置し、定期的に情報共有会を設ける体制です。
役割に応じた評価制度を導入することで、社内での定着を促進します。
7.4. 定期的な改善/アップデートをルール化する
業務や組織は常に変化するため、システムもそれに合わせて進化させる必要があります。
ところが、導入後にそのまま放置してしまうケースも多く、「導入当初のまま使い続けている」ことがシステム活用の障壁になることもあります。
- 半年ごとにシステム運用レビューを実施
- 各部門からの改修要望を定期的に収集/分類
- 改修/アップデートスケジュールを社内で周知
運用に関わる関係者が集まる「改善会議」を定期開催し、業務課題の棚卸しと対応策の検討を行うと効果的です。
7.5. 部門間でのシステム活用を促す連携体制をつくる
業務システムは、部門をまたいで情報をつなぐことで最大の効果を発揮します。
導入時は特定部門を中心に進めることが多いものの、長期的には全社での活用を視野に入れた横断的な体制づくりが求められます。
- 各部門から代表者を出し、定期的なシステム運用会議を実施
- 成功事例をイントラネットや社内SNSで共有
- 「全社共通KPI」を設定し、システム活用の成果を可視化
8. 業務システム導入の失敗を防ぎたいならブリエ

業務システム導入の成功には、技術力だけでなく、業務理解や提案力、柔軟な対応力を兼ね備えたパートナーの存在が不可欠です。
株式会社ブリエは、現場視点での業務整理から要件定義、システム設計・開発、導入・運用支援まで一貫して伴走する体制を整えており、多くの中堅・中小企業から厚い信頼を得ています。
ブリエの強みは、単なる受託開発ではなく「業務を改善するためのシステム」をつくる姿勢です。
クライアントの課題を深く理解し、プロジェクトの初期段階から導入・運用後まで継続的に支援することで、長期的に成果の出るシステム構築を支援します。
- 現場目線でのヒアリングと丁寧な課題整理
- 業務改善/DX推進を見据えた本質的な提案
- 要件定義〜運用支援まで一貫して対応するワンストップ体制
- スモールスタートから段階的な拡張まで柔軟に対応
- ノーコード/ローコードなど最新技術にも対応
- 運用後も迅速な対応対応が可能
豊富な開発実績と業界知識を活かし、単なるIT導入にとどまらず「業務改善につながる仕組みづくり」をご提案します。
「システム導入で失敗したくない」「自社に合った開発パートナーを探したい」とお考えの方は、ブリエにご相談ください。
9. まとめ
- 導入そのものが目的化し、運用定着が軽視される
- 業務プロセスとの整合性が不十分なまま導入が進む
- 社内のITリテラシーや運用体制が整っていない
- 現場と経営層の意識に乖離がある
- 要件定義が曖昧で関係者の認識にズレがある
- 開発会社とのコミュニケーション不足
- 予算やスケジュールの見通しが甘い
- 導入後の保守/改善体制が不明確
- 現状業務の棚卸しと課題の可視化する
- 目的とKPIを明確に設定する
- 現場の意見を反映した要件定義を行う
- 業務プロセスの見直しと標準化する
- システム導入の社内浸透戦略を立てる
- スケジュールと予算を現実的に見積もる
- 導入範囲とステップの段階的に設計する
- 改善を前提とした運用計画を立てる
- 業界や同規模企業への豊富な実績がある
- 業務理解に基づく提案と代替案を提示できる
- 柔軟な変更対応やコミュニケーション体制がある
- 契約条件や費用の内訳が明確
- 対応スピードやサポート体制に安心感がある
- ヒアリング力が高く、課題を的確に把握する
- 導入後の支援や保守の実績がある
- 経営層と現場双方への説明力がある
- システム利用状況を継続的にモニタリング
- ユーザからのフィードバックを集める体制
- 効果測定のKPIを定期的にチェック
- トラブルや改善要望の記録と対応履歴の管理
- 業務変更へのシステム反映フローを整備
- 社内マニュアルや教育コンテンツの整備
- 運用担当者の役割や責任範囲の明確化
- 改善を前提としたPDCAサイクルの運用
これらの観点を押さえ、システム導入を「業務改善」や「経営課題の解決」につなげていくことが、本当の意味での成功です。
導入を「目的」にするのではなく、「成果を出す手段」として捉え、継続的な改善と運用体制を築いていきましょう。

株式会社ブリエ代表取締役。Webデザイン、WordPress、Elementor、DTPデザイン、カメラマンなどを経て、FileMakerエンジニアとなる。企業の経営課題であるDX化、業務効率化、ペーパーレス化、情報の一元管理など、ビジネスニーズの変化に合わせてFileMakerで業務システムを開発し、柔軟に拡張して解決いたします。