
FileMakerエンジニア

2025年6月27日、気象庁が「九州南部、九州北部、四国、中国、近畿」の梅雨明けを発表しました。
1951年の統計開始以来、九州北部、四国、中国、近畿は最も早い梅雨明けだそうです。
天気の話となりますが、天気予報はスパコンを使ったシミュレーションに基づいて行われています。
膨大なデータを利用し瞬時に計算する装置は驚嘆の一言に尽きますが、その基となっているデータや、計算の方法は数多くの計測や設計・開発者の尽力によって支えられています。
FileMaker(ファイルメーカー)も、データを元に集計や管理を行うことができるツールなので、用途は違えどその考え方には学ぶところがあります。
このような思わぬところから閃きを得られるように、今回もBriller FileMaker Laboratory(BFL)を通じて、FileMaker(ファイルメーカー)にできる可能性を模索していきたいと思います。
目次
テーマ
今回のテーマは「データベースデザインレポートの調査」です!
FileMaker(ファイルメーカー)にはデータベースデザインレポートの作成という、データベースのスキーマをドキュメント化して保存する機能があることをご存じでしょうか。
Claris FileMaker Pro ヘルプ:データベースのスキーマのドキュメント化
例えばFileMaker(ファイルメーカー)開発を引き継ぎ、機能改修に影響のある箇所を調べるとき、データベース・レイアウト・スクリプトなどを1つずつ目を通して確認するのは非常に骨が折れます。
フィールド名や変数を検索する機能も用意されてないため、確認する手段がないように思われますが、データベースデザインレポートを活用すれば、その問題も一気に解決します。
データベースデザインレポートには文字通り、データベースのデザインとなる情報が記述されており、どのフィールドがどのレイアウト、どのスクリプトで使用されているかなど、事細かく確認することが可能です。
しかしながらClaris FileMaker Pro ヘルプにはその内容について細かく記載はされておりません。
したがって今回はデータベースデザインレポートで確認できる情報とできない情報を調査し、今後の開発のお役立ちとなるようまとめさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
データベースデザインレポートについて
まずはデータベースデザインレポート機能について、もう少し詳しく説明をさせていただきます。
データベースデザインレポートはメニューのツールにあります。
※環境設定で高度なツールを使用にチェックが必要です。

クリックすると下図のウインドウが表示され、以下の内容を選択してHTMLまたはXML形式で出力することが可能です。
・ファイル(左上枠)
・テーブルのフィールド(右上枠)
・アカウント
・アクセス権
・カスタムメニュー
・カスタムメニューセット
・スクリプト
・データソース
・ファイルアクセス
・リレーションシップ
・レイアウト
・値一覧
・拡張アクセス権
・関数

データベースデザインレポートはファイル構造が複雑なものほど作成に時間を要してしまうため、調査する内容の範囲がわかる場合は、不要な項目は外しておくと時間をかけずに出力できます。
環境
調査するにあたっての環境を紹介します。
ソフトウェア:FileMaker Pro 21.1.1.41
OS:Windows 11 Pro(24H2)
表示言語:日本語
調査方法
ファイルの準備
データベースデザインレポートの内容確認のため以下の仕様のファイルを作成します。
・テーブル

・フィールド

・アカウント

・アクセス権

・カスタムメニュー

・カスタムメニューセット

・スクリプト

・データソース

・ファイルアクセス

・リレーションシップ

・レイアウト

・値一覧

・拡張アクセス権

・関数

データベースデザインレポートの作成
用意したファイルからデータベースデザインレポートをHTML形式で作成し、内容を確認します。

調査結果
ファイル
- ファイルオプション
・デフォルトのカスタムメニューセット
・デフォルトテーマ - ファイルを開く時(の設定)
・使用可能な最低バージョン
・次を使用してログイン
・ユーザによるパスワードの保存を許可
・要 iOS パスコード
・サインインフィールドを表示
・表示するレイアウト
・すべてのツールバーを隠す - スクリプトトリガ
・OnFirstWindowOpen
・OnLastWindowClose
・OnWindowOpen
・OnWindowClose
・OnFileAVPlayerChange
・OnWindowTransaction - サムネール設定
・サムネールを生成
テーブル
- テーブル名
- 使用状況
- リレーションシップグラフ内のテーブル名
フィールド
- フィールド名
- タイプ
- オプション
・入力値の自動化
・入力値の制限
・データの格納 - コメント
- レイアウト上
- リレーションシップ内
- スクリプト内
- 値一覧内
アカウント
- アカウント名
- パスワード
- 状態
- タイプ
- アクセス権セット
- 説明
- ユーザは次回ログイン時にパスワードの変更が必要
アクセス権
- アクセス権セット
・説明
・使用者 - データアクセスとデザイン
・レコード
・レイアウト
・値一覧
・スクリプト - その他のアクセス権
・印刷を許可
・エクスポートを許可
・拡張アクセス権の管理
・ユーザによるデータ入力警告の無視を許可
・アイドル状態の時、サーバーからユーザの接続を解除する
・ユーザによるパスワードの変更を許可
・利用できるメニューコマンド - 拡張アクセス権
カスタムメニュー
- メニュー名
・カスタムメニューセット
・デフォルトの表示タイトル
・コメント - メニューオプション
・表示タイトルを変更
・インストールする条件
・表示するプラットフォーム (レガシー)
・メニューモード - メニュー項目
・タイプ
・コマンド
・インストールする条件
・プラットフォーム (レガシー)
・タイトルを変更
・操作を変更
・ショートカットを変更
カスタムメニューセット
- メニューセット
- メニュー
- スクリプト内
- レイアウト内
- コメント
スクリプト
- スクリプト名
・スクリプトを完全アクセス権で実行
・Siri ショートカットを表示
・メニューに表示させる
・このスクリプトを使用するレイアウト
・このスクリプトを使用するスクリプト - スクリプト編集
・スクリプトステップ
・このスクリプトで使用されるフィールド
・このスクリプトで使用されるスクリプト
・このスクリプトで使用されるレイアウト
・このスクリプトで使用されるテーブル
・このスクリプトで使用されるテーブルオカレンス
・このスクリプトで使用されるカスタム関数
・このスクリプトで使用されるカスタムメニューセット
データソース
- FileMaker データソース
- ファイルパス一覧(検索順)
ファイルアクセス
- ファイルアクセスオプション
・権限のないファイルのアクセスをブロック - このファイルへのアクセス認証済みファイル (受信)
・ユーザによる認証
・認証日 - これらの保護されたファイルへのアクセスの認証 (送信)
・ユーザによる認証
・認証日
リレーションシップ
- リレーションシップ: テーブルオカレンス
・テーブルオカレンス
・ソーステーブル
・ソースファイル
・リレーションシップ内
・スクリプト内
・フィールド定義内
・値一覧内
・関連付けられているレイアウト - リレーションシップ: 詳細
・テーブルオカレンス
・フィールド
・ソーステーブル
・ソースファイル
・このリレーションシップによるレコードの作成を許可する
・他方のテーブルでレコードが削除されたときにこのテーブルの関連レコードを削除する
・レコードのソート
レイアウト
- レイアウト階層
・レイアウト名
・メニューに表示させる
・クイック検索
・オブジェクト数
・レコードを表示
・レコードの変更を自動的に保存する
・アクティブ時にフィールドのフレームを表示
・現在のレコードのみにフィールドフレームを表示
・現在のレコードインジケータをリスト形式に表示
・スクリプト内で使用
・カスタムメニューセット
・スクリプトトリガ
・テーマ ID - レイアウトオブジェクト
・フィールドプロパティ
・座標
・フィールド書式
・フィールド選択時の動作
・クイック検索
値一覧
- 値一覧名
- ソース
- 値
- レイアウト上
拡張アクセス権
- キーワード
- 説明
- アクセス権セット
関数
- 関数名
- 引数
- アクセス
- 定義
- フィールド定義内
- スクリプト内
テーマ
- テーマ ID
- 表示名
- 内部名
- グループ
- ロケール
- バージョン
まとめ
FileMaker(ファイルメーカー)を構成する内容だけあって、流石の情報量でした。
ですがはっきりわかったこととして、データベースデザインレポートだけでは、まったく同じファイルを用意することはできません。
当然のことですが、ファイルやアカウント情報にパスワードのようなセキュリティに関する情報は記載されません。
あとはデータベースのデザインレポートなので個別に設定されている環境設定のような情報も入っておりませんでした。
しかしながらテーブル、フィールド、リレーションシップ、レイアウト、スクリプト、値一覧といった、影響範囲調査のために必要な項目は全て取得できるため、例えば対象のフィールドが、どのレイアウト、スクリプト、値一覧、またリレーションによって紐づけられているか、テキスト検索を行えば簡単にわかるのは十分有益であると思われます。
毎回出力するたびに全ての情報を出して確認する必要はないため、今回調査した結果を元に必要な情報が取得できるようになれば効率よく調査を進めることができるようになるます。
以上が【BFL vol.8】FileMakerのデータベースデザインレポートの内容を調べてみたの検証となります。
ここまで読んでくださって誠にありがとうございました。また次回のBFLもお楽しみに!
また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
既存システムの検証・調査のご相談もお気軽にお問い合わせください。

株式会社ブリエFileMakerエンジニア。ローコード開発を筆頭にプロコードからフロントエンドまで、多種多様な開発経験を活かしたフットワークの軽さが自慢のオールラウンダー。より便利に、より使いやすいUI/UXデザインをモットーに、新しい分野にも積極的に挑戦することで、あらゆるニーズに柔軟に対応できるよう、日々勉強を続けております。