
FileMakerエンジニア

近年では日本でも最高気温が40度を超えることも珍しくない時代になりました。
多ければ多いほどいいという意味合いの言葉で、多々益々弁ず (たたますますべんず)ということわざがありますが、気温に関してはその限りではありませんね。
しかしBriller FileMaker Laboratory(BFL)ならば、検証は多ければ多いほど開発の助けになりますので、今後も様々なことを積極的に調べていきたいと思います。
目次
テーマ
今回のテーマは「クリップボード形式の内容の調査」です!
FileMaker(ファイルメーカー)でテーブルやスクリプトなど、テキストや画像ではないデータをコピー&ペーストすることはあると思いますが、どういった仕組みなのか気になったことはありませんでしょうか。
FileMakerに限らず、この話題は昔からあるので、クリップボードの内容が確認できたり、その内容を書き換えたものをペーストできるようにしたりするツールも多々あります。
細かい仕様はツール任せでも問題はないのですが、クリップボード形式の構造を理解すれば、テキストベースでデータの用意を行ったり、保存も容易になるので、より効率の良い構築が可能となります。
普段何気なくコピー&ペーストをされている方は是非とも参考にしていってください。
クリップボードについて
クリップボード自体はポピュラーな機能なので、多く説明する必要はないと思われますが、簡単に言うとパソコンで一時的にデータを保存する機能です。
少し細かい話をしますと、クリップボードには形式が存在し、いくつかの種類があります。
・標準クリップボード形式:システム側で定義されている形式
・登録済みクリップボード形式:アプリケーション側が登録する形式
・プライベートクリップボード形式:特定のアプリケーションで扱いたい形式
通常のテキストや画像は標準クリップボード形式で呼び出されるので、様々な箇所での利用が可能です。
しかし、FileMaker(ファイルメーカー)でのみ利用されるテーブル・フィールド・スクリプト・スクリプトステップ・レイアウトオブジェクト・カスタム関数は標準クリップボード形式ではないため、コピーしてもそのままテキストエディタなどにペーストすることはできません。
FM Clipboard Thingについて
上記の項で説明したように標準クリップボード形式でないFileMaker情報を確認するには標準のツールでは難しいため、今回はFM Clipboard Thingを利用します。
こちらはFileMakerのクリップボード情報をXML形式で起こし、その内容をペーストに利用することもできる大変便利なツールです。
詳しい使い方は割愛させていただきますが、今回の調査ではFM Clipboard Thingを利用してクリップボードの内容を確認していきます。
環境と利用ツール
検証するにあたっての環境と利用ツールを紹介します。
ソフトウェア:FileMaker Pro 21.1.1.41
OS:Windows 11 Pro(24H2)
利用ツール:FM Clipboard Thing v1.3.4
検証方法
ファイルの準備
まずは下図のようなファイルを用意します。
フィールドはテキストフィールドのみとなっております。


レイアウトはテキストフィールドのみ設置しております。

確認用のスクリプトを用意します。
スクリプトステップにはコメントを入れます。


検証内容
今回確認するFileMaker(ファイルメーカー)のオブジェクトデータは以下を対象とします。
・テーブル
・フィールド
・スクリプト
・スクリプトステップ
・レイアウトオブジェクト
・カスタム関数
上記のデータからそれぞれコピーを行い、FM Clipboard Thingによってクリップボードの内容をXMLで取得し、フォーマット形式や構造の確認します。
検証結果
テーブル
フォーマット形式:XMTB
フィールド
フォーマット形式:XMFD
スクリプト
フォーマット形式:XMSC
スクリプトステップ
フォーマット形式:XMSS
スクリプトステップ
レイアウトオブジェクト
フォーマット形式:XML2
カスタム関数
まとめ
レイアウトオブジェクトを除き、基本的な構造として<fmxmlsnippet type=”FMObjectList”></fmxmlsnippet>がルート要素に設けられており、その中に各内容の要素を入れ込んでいく形となっていました。
レイアウトオブジェクトは他と比べ描画に関する情報量が多い分、内容も複雑になっているのが見受けられます。
スクリプトステップは今回コメントのみとさせていただきましたが、実際の運用では様々な種類を入れての用意となり、バージョンによっては内容の入れ替わりもあります。
それら以外に関しては内容が大きく変わることはないと思われますので、手を加えやすい形で一度形を作っておけば、1つずつ入力して用意するといった手間が解消されるかもしれません。
普段何気なく利用している機能がどのようになっているのか、中身を調べてみるのは勉強になりますし、同じようなものを作るときの参考にもなります。
なんとなく知っていることも、こうして書き起こすことでより理解が深まりますので、大変有意義な調査となりました。
以上が【BFL vol.10】FileMakerのクリップボード形式の内容を調べてみたの検証となります。
ここまで読んでくださって誠にありがとうございました。また次回のBFLもお楽しみに!
また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
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株式会社ブリエFileMakerエンジニア。ローコード開発を筆頭にプロコードからフロントエンドまで、多種多様な開発経験を活かしたフットワークの軽さが自慢のオールラウンダー。より便利に、より使いやすいUI/UXデザインをモットーに、新しい分野にも積極的に挑戦することで、あらゆるニーズに柔軟に対応できるよう、日々勉強を続けております。