(前編)FileMaker Data APIの年間使用量上限廃止で何が変わる?活用の幅を解説

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執筆者:諏訪田 隆星

FileMakerエンジニア

 

先日、FileMakerのアップデートにより、FileMaker Data APIの年間利用量に関する上限が廃止されました。

この件についてはClaris FileMaker 技術情報の公式アカウントがX(旧Twitter)にも投稿しています。

この変更により、どのような活用が可能になりFileMakerの利用範囲がどれほど広がるのでしょうか?

本記事ではFileMaker Data APIの基本と今回の変更によって生まれる新しい可能性について、具体例を交えながら2回に分けて詳しく解説していきます。

目次

FileMaker Data APIとは?

主な特徴

REST API準拠

FileMaker Data APIは、業界標準のRESTアーキテクチャに基づいて設計されています。

これにより、HTTPリクエストを使用してデータ操作を簡単に実行できます。

たとえば、以下の操作が可能です。

  • GET:データを取得する
  • POST:新しいデータを登録する
  • PATCH:既存のデータを更新する
  • DELETE:不要なデータを削除する

REST APIに準拠しているため、多くのプログラミング言語やツールで直感的に利用でき、他のシステムとの連携が容易です。

JSON形式対応

入出力データは、軽量で扱いやすいJSON(JavaScript Object Notation)形式でやり取りされます。

この形式は、モダンなプログラミング言語やフレームワークと非常に相性が良いため、開発者にとって効率的な開発環境を提供します。

また、JSONは読みやすく編集しやすい構造を持っているため、デバッグやトラブルシューティングも容易です。

クロスプラットフォーム

FileMaker Data APIは、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションなど、さまざまなプラットフォームとの連携を可能にします。

これにより、FileMakerのデータベースに保存された情報を、iOSやAndroidデバイス、あるいはブラウザベースのアプリケーションで活用することができます。

FileMakerのデータを他のクラウドサービスやエンタープライズシステムと統合する際にも、このクロスプラットフォーム対応が非常に有効です。

できること

FileMaker Data APIを利用することで、以下のような基本的なデータ操作が可能になります。

  • データの取得
    FileMakerの特定のレイアウトに基づいて、指定したデータを取得することができます。
    これにより、リアルタイムでデータを外部に表示したり、他のシステムで使用するためにデータをエクスポートしたりすることが可能です。

  • データの検索
    特定の条件に基づいてFileMakerデータベース内のデータを検索することができます。
    たとえば、「顧客名が ‘山田’ で、注文日が2023年以降」のような複雑な条件を指定してデータを抽出可能です。これにより、必要なデータを効率的に絞り込むことができます。

  • データの登録
    外部のアプリケーションやサービスから新しいレコードをFileMakerデータベースに登録できます。たとえば、Webフォームで入力された情報をAPIを介してFileMakerに保存することで、効率的なデータ管理が可能になります。

  • データの更新
    FileMakerに保存されている既存のレコードを更新することができます。
    これにより、外部システムから最新の情報をFileMakerに反映させることができ、データの整合性を保つことが可能です。

  • データの削除
    不要なデータや誤って作成されたデータを外部から削除することができます。これにより、データベースのメンテナンスが簡単になります。

  • スクリプトの実行
    FileMakerで事前に定義されたスクリプトを外部から呼び出して実行することが可能です。たとえば、データ入力後に自動計算を行ったり、レポートを生成したりする処理をスクリプトで実行できます。これにより、複雑な処理や自動化されたワークフローをAPI経由で実現できます。

基本的な仕組みとセキュリティ

FileMaker Data APIを利用するには、サーバーに認証を行いトークンを取得します。

このトークンをリクエストに添付することで、不正アクセスやデータ漏洩を防ぎます。

例えば、認証を導入することで以下のリスクを軽減できます。

  • ブルートフォース攻撃
  • SQLインジェクション
  • なりすまし攻撃

 

セキュリティについては、次回以降で詳しく解説予定です。

FileMaker Data APIで何ができるのか?実例紹介

FileMakerと外部アプリケーションを統合することで、以下のような活用が可能です。

1. ガントチャートの作成

プロジェクト管理ツールとして広く利用されるガントチャートですが、FileMaker単体では横軸に連続したデータを表示することが苦手です。

例えば、プロジェクトのスケジュールを視覚的に表現する際には、動的にデータを配置し、見やすいインターフェースを提供する必要があります。

この場合、Webアプリケーションでガントチャートを構築し、APIを通じてFileMakerのデータと連携することで、より使いやすいプロジェクト管理システムを実現できます。

プロジェクトの進行状況をリアルタイムで反映する仕組みを追加すれば、効率的なタスク管理が可能です。

2. 在庫管理システム

FileMakerは、シンプルな在庫管理には向いていますが、複雑な計算やBOM(部品表)システムを含む場合は、パフォーマンスが課題になることがあります。

例えば、部品の階層的な構造や動的なレポート生成などの処理をWebアプリで行い、その結果をFileMakerに反映することで、迅速で正確な在庫管理を実現します。

また、出荷状況や仕入れ情報をAPI経由で外部システムと連携することで、在庫の可視化とリアルタイム管理が可能になり、業務効率化に大きく貢献します。

3. ECサイトとの連携

FileMakerでは、特定のユーザー数に基づいたライセンスが設定されており、不特定多数のアクセスが発生するECサイトの運営には直接対応できません。

しかし、FileMaker Data APIを利用して、Webサーバー上で注文処理や顧客管理を行い、そのデータをFileMakerに転送することで、柔軟なシステム構築が可能です。

例えば、商品検索やカート機能はWebで処理し、受注データや在庫状況はFileMakerに連携することで、両システムの強みを生かしたECサイトが構築できます。

さらに、マーケティングデータの分析やキャンペーン管理などの高度な処理も容易になります。

4. アンケートやフォームの統合

アンケートや問い合わせフォームは多くの場合Webで実装されますが、そのデータをFileMakerに取り込むことで、管理業務を一元化することができます。

例えば、顧客満足度調査やユーザーのフィードバックを収集するフォームをWebアプリケーションで作成し、FileMakerにデータを保存して分析する仕組みを構築すれば、より効果的なマーケティング戦略を立案できます。

また、フォームデータに基づく自動レポート生成や通知機能を追加することで、業務効率をさらに向上させることができます。

まとめ

本記事ではFileMaker Data APIの概要とその活用方法について解説しました。

次回は私の過去の実績で、FileMaker Data APIに制限がある状態ではできなかった実際の導入事例をもとにFileMaker Data APIの制限がなくなればできたことを解説いたします。

 

また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
APIの活用を含めたシステム構築についてのご相談はお気軽にお問い合わせください。

 

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執筆者:諏訪田 隆星

多岐にわたる業種での経験を経て、現在はFileMakerを中心に活躍中のエンジニアです。ローコード開発を得意としながらも、Django、React、Flutterなどの技術にも挑戦し、幅広い開発スキルを習得。常に自分の技術を磨き、より良いソリューションを提供できるよう、継続的にスキルアップを図っています。多彩な技術を駆使して、クライアントのニーズに応える柔軟性と、迅速かつ効果的な開発力が強みです。

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