
FileMakerエンジニア

社内にシステムが乱立し、「どのデータが正しいのか分からない」「部署間で連携が取れない」「業務が非効率になっている」などといった課題を抱えていませんか?
社内システムの乱立は業務の属人化やミスの温床となり、最悪の場合、経営判断の遅れや重大なトラブルに発展する原因の一つです。
現場ごとに異なるツールを導入してきた結果、情報が分断された「サイロ化」と言われる状態に陥っている企業も少なくありません。
- 営業部はExcel、経理部は会計ソフト、マーケティング部は別のCRMを使用
- 同じ顧客情報が部署ごとに異なるシステムに分散
- 手作業によるデータ転記が日常化し、ミスが頻発
- システムごとに操作方法やサポート窓口が異なり、管理が煩雑化
本記事では、社内システムの乱立が招く問題やリスクを明らかにしながら、その根本原因と解決のための具体策を体系的に解説します。
- 社内システムが乱立することの問題点と業務・経営への影響
- 乱立が引き起こす代表的なリスクとその具体例
- システム乱立を防ぐための原因分析と再発防止策
- システム統合に向けた対応ステップと成功のポイント
社内システムが乱立していることで不安を感じている場合は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 社内システムが乱立することの問題点

企業内で複数の業務システムが乱立している状態は、一見すると各部門が最適なツールを導入して効率化を図っているように見えるかもしれません。
しかし、実際には情報の断絶や非効率な業務フローを生み出し、組織全体に深刻な影響を及ぼします。
- 情報の一元管理ができなくなる
- 情報共有や業務連携の阻害
- 業務効率の低下と管理コストの増大
- 長期的な経営リスクの発生
ここでは、特に顕在化しやすい課題について詳しく見ていきます。
1.1. 情報の一元管理ができなくなる
部署ごとに異なるシステムを導入していると、顧客情報、商品情報、売上データなどがそれぞれのツール内に分散してしまい、統合的な管理が困難になります。
たとえば、営業部はCRM、経理部は会計ソフト、店舗はPOSレジといったように、同じ顧客に関する情報がバラバラに存在してしまう状況です。
その結果、同じ情報を何度も入力する「二重入力」が発生し、ミスの原因になります。
また、必要な情報を探すのに時間がかかるうえ、正確性にも不安が残ります。
データの整合性が取れなくなることで、全社的な業務の見える化ができず、判断の遅れやミスにつながる可能性もあるでしょう。
1.2. 情報共有や業務連携の阻害
システムが統一されていないと部署間での情報連携がスムーズに行えず、「資料はExcelで手作業作成」「データはメールで都度送付」など、非効率なやりとりが日常化します。
このように、部門ごとに閉じたシステムと運用が並立する状態は「サイロ化」と呼ばれ、情報の流通や業務の相互理解を阻害する大きな原因です。
サイロ化が進むと、リアルタイムでの共有が難しくなり、重要な意思決定や連携対応にも支障が生じます。
1.3. 業務効率の低下と管理コストの増大
複数のシステムを併用することで、従業員はツールごとの操作方法を覚える必要があり、教育や研修にかかる時間・コストが増加します。
UI(ユーザインターフェース)の違いや操作ミスによるトラブルも頻発し、現場に負担をかけることもあるでしょう。
さらに、システムごとにライセンス料や保守費用、アップデート費用が発生すれば、リソースも分散します。
サポート窓口が複数になることでトラブル対応にも時間がかかり、全体のコストは想像以上に膨れ上がります。
1.4. 長期的な経営リスクの発生
システム間での連携が取れていないと、経営に必要なデータが正確に集約されず、分析や戦略立案が曖昧になります。
たとえば、「部門別の利益率が見えない」「在庫データが最新でない」「顧客のLTVが把握できない」といった状況が起こり、経営判断に大きな遅れが出るリスクがあります。
また、外部環境の変化に迅速に対応できず、競争力の低下や機会損失につながることもあるでしょう。
IT資産の老朽化やブラックボックス化も進みやすく、将来的にシステム移行が難航する原因にもなり得ます。
2. 社内システム乱立が引き起こすリスク

社内に複数のシステムが乱立している状態は、単なる「使い勝手の悪さ」だけでは済まされません。
現場の生産性低下にとどまらず、経営全体のスピードや柔軟性、さらには信頼性にまで深刻なダメージを与えることがあります。
- 情報分断による業務非効率
- 重複入力・ミスの増加
- データ活用・経営判断の遅延
- セキュリティリスクの拡大
- システム維持コストの無駄
- 部門間の対立・連携不足
こうしたリスクの実態と、それがもたらす影響について具体的に見ていきましょう。
2.1. 情報分断による業務非効率
部署ごとに異なるシステムを導入していると、データがそれぞれの部署内で閉じられてしまい、横断的な業務連携が困難になります。
営業部では顧客管理にExcel、サポート部門では専用の問い合わせ管理ツール、マーケティング部門では別のCRMツールを使用しており、同一顧客の情報が分断。
問い合わせ履歴が営業に共有されないため、提案のタイミングを逃すといった事例が多発してしまう。
2.2. 重複入力・ミスの増加
情報を複数システムに手入力で転記する機会が増えると、ミスや漏れが発生しやすくなります。
受注データを営業担当が営業管理システムに入力した後、経理担当が請求管理システムに再入力。
その際に顧客名の表記が異なってしまい、請求書の宛名に誤りが発生。信用問題に発展し、クレームにつながった。
2.3. データ活用・経営判断の遅延
部門ごとにデータが閉じた状態では、横断的な分析や全体を見通した判断が難しくなります。
各店舗の売上データをExcelで集計し、本部が手動で月次報告を作成していることで集計に1週間以上かかり、売れ筋商品の発注判断が遅れ、繁忙期に在庫切れが発生。
販売機会を大きく損失した。
2.4. セキュリティリスクの拡大
管理の行き届かないシステムや、更新されていない古いソフトウェアが混在すると、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。
過去に導入された部門専用のファイル共有サーバーが放置され、退職者のIDが削除されていなかったことが発覚。
元社員がアクセスできる状態であったため、情報漏洩の可能性があった。
2.5. システム維持コストの無駄
ライセンス費用や保守契約、ベンダーごとのサポート料金などが重複し、運用費が過剰になります。
5つの異なる業務システムを利用しており、それぞれに年間保守費用が発生。
結果として、社内全体のITコストのうちの一部が重複投資となっていた。
2.6. 部門間の対立・連携不足
システムの違いが業務の進め方や情報の見え方に影響し、相互理解が進まず、部門間で対立が生まれることもあります。
営業部と製造部で使っている在庫管理システムが異なり、在庫数の認識にズレが発生。
「営業が勝手に売ってきた」「製造が情報を出さない」といった不信感が生じ、連携が形骸化したことで納期遅延が常態化した。
このように、社内システムの乱立は業務の非効率やヒューマンエラーの増加にとどまらず、セキュリティリスクの拡大や経営判断の遅れ、組織間の分断といった深刻な問題を引き起こします。
一見、現場の利便性を高めているように見えるシステムも、全社的な整合性を欠いたままではかえって足かせとなる可能性が高いのです。
こうしたリスクを未然に防ぐためにも、システムの統合や一元管理への転換を早期に検討することが重要です。
3. 社内システムが乱立する原因

企業内でシステムが乱立する背景には、現場の自主性だけでなく、全社的なIT統制の欠如や短期的な意思決定が関係しています。
- 業務部門ごとの独自システム導入
- 担当者主導での個別ツール利用
- 全社的なIT戦略の欠如
- 短期的な課題解決を優先した選定
- DX推進の初動ミス
ここでは、主な原因をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
3.1. 業務部門ごとの独自システム導入
このような導入背景が積み重なることで、組織全体の連携が損なわれ、部門間の情報や目的が共有されない「サイロ化」が進行してしまうのです。
- 全社共通のIT方針が不在または曖昧
- システム導入の意思決定が部門単独で可能な体制
- 部門KPIの達成が優先され、部門間連携が軽視される風土
3.2. 担当者主導での個別ツール利用
社内システムの乱立は、利便性や即効性を重視した結果、個人判断でツールを選定・導入してしまうことが背景にあります。
- IT部門の承認を必要としないクラウド/SaaSツールが増えている
- 業務課題への迅速な対応を求められ、個人でツールを選びやすい環境
- 情報システム部門の関与が限定的で、管理の目が届かない
3.3. 全社的なIT戦略の欠如
システム導入に関する方針や中長期的なIT戦略が整備されていない企業では、乱立を防ぐ仕組みそのものが存在しません。
- システム導入に関する基準や判断軸が明文化されていない
- 導入/利用/管理のルールがないなどのITガバナンスの不在
- 部門横断のIT投資の優先順位が整理されていない
3.4. 短期的な課題解決を優先した選定
将来的な統合性や運用継続性よりも、「今この問題を早く解決したい」というプレッシャーが意思決定を歪める要因になります。
- スピードを重視したり、とりあえず試したりする文化がある
- 一時的なコスト削減を優先する経営判断
- 他部署の運用や全社計画への影響を考慮しない導入プロセス
3.5. DX推進の初動ミス
DXを単なる「デジタル化=ツール導入」と誤解したまま、業務整理や標準化を行わずに個別導入を進めてしまうことが根本原因です。
- 業務フローの見直しを行わずにツール導入から着手した
- 部署ごとに異なるベンダーやツールを採用してしまった
- 経営層がITの全体設計に関心を持たず、現場任せになっている
社内システムの乱立は、現場の利便性や迅速な課題解決を優先するあまり、全社的な視点やIT統制が欠けてしまうことによって引き起こされます。
特に「個別最適の積み重ね」「IT戦略の不在」「場当たり的なDX対応」といった社内の構造が、バラバラなIT環境を固定化してしまう原因です。
乱立を防ぐには、こうした根本原因を明確にし、ITの導入・運用に関するルールや戦略を見直すことが第一歩となります。
なお、すでに社内システムの乱立によるトラブルが起きている場合は、システム開発会社への相談をおすすめします。
株式会社ブリエでは無料相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
4. 社内システムの乱立への対応策

システムの乱立を解消するためには、単なるシステム統合に留まらない、戦略的かつ段階的な対応が求められます。
- 全社横断でのIT戦略を再設計する
- システム間連携を推進する
- 基幹システムへ統合をする
- データ基盤の整備と一元管理する
- 段階的な統廃合と最適化の実施する
ここからは、実効性の高い対応策を紹介します。
4.1. 全社横断でのIT戦略を再設計する
まずは、全社レベルでのIT方針・導入判断基準を明文化し、部門ごとの独自導入を防ぐ統制体制を整える必要があります。
サイロ化の進行を防ぎ、全社の整合性を保ったIT環境を築くためにも、部門ごとの独立した判断を抑え、横断的な戦略設計が必要です。
IT戦略部門と経営層が連携し、IT投資の目的や導入判断プロセス、更新・廃止基準、責任範囲などを包括した「ITガバナンスルール」を策定しましょう。
また、すべての新規導入・契約更新に対しては事前審査フローを設け、経営判断とシステム全体最適の観点から妥当性を確認する体制を構築することも重要です。
各部門が独自の判断でシステムを導入。
システムを利用する目的や機能が重複し、費用も膨らんでいる。
新規導入時はIT戦略部門の審査を経て判断。
全社でシステムの整合性がとれるようになり、重複や無駄な導入がなくなった。
4.2. システム間連携を推進する
既存システムを無理に統合するのではなく、まずはAPI連携やiPaaS(Integration Platform as a Service)を活用して、異なるシステム間でリアルタイムにデータをやり取りできるようにします。
たとえば、販売システムで入力されたデータを自動的に会計システムや在庫管理へ反映させることで、手作業や二重入力の手間を削減できるかもしれません。
特に「売上」「顧客」「在庫」など、部門をまたいで使用されるコアデータは、優先的に連携対象とすることで全体の業務効率が大きく改善されます。
営業システムと会計システムが連携されておらず、売上データを毎月手作業で転記。
入力ミスや集計遅延が頻発し、データの正確性が低い。
APIで売上データを自動連携。手作業・転記が不要となり、月次集計が即日完了。
入力ミスも大幅に減少し、データの正確性と業務効率が向上した。
4.3. 基幹システムへ統合する
企業活動の中心となる販売、在庫、購買、会計、人事といった業務は、機能ごとに分断せず、ERPや統合業務システムに一本化することが望まれます。
統合前には、各業務フローを見直して標準化し、不要な重複機能や例外処理を排除しましょう。
その上で、必要な業務を横断的に管理できるシステム基盤を整えることで、組織全体の業務を可視化し、意思決定の迅速化・精度向上につなげます。
統合後はマスタ情報が一元管理されるため、属人性の排除や監査対応の強化にもつながります。
在庫は倉庫管理表、売上はExcel、顧客はCRMなどバラバラで管理。
部門ごとの数値が食い違い、正しい分析ができない。
ERPに情報を一元化。
全社の在庫・売上・顧客データがリアルタイムで見えるようになり、正確な経営判断が可能になった。
4.4. データ基盤の整備と一元管理を行う
複数の業務システムが並行して稼働していても、データそのものを一元管理することで分断を解消できます。
まず、過去データを整理して保管しておくデータウェアハウスを構築し、各システムから定期的にデータを収集・統合できる仕組みを整えましょう。
次に、マスターデータ管理(MDM)などを導入し、顧客や商品、社員などの基本情報を全社共通で管理・更新できるようにします。
これにより、部門ごとのデータの食い違いや情報の重複を防ぎ、正確かつ再利用可能なデータ基盤を構築することが可能になります。
各部門が独自の顧客マスタを持ち、同じ顧客に異なる情報が登録されている。
マーケティング施策のターゲティングが不正確。
顧客情報をMDMで統一・更新ルールを整備。
どの部署も同じデータを使えるため、精度の高い分析・施策が可能になった。
4.5. 段階的な統廃合と最適化を実施する
いきなりすべてのシステムを統一するのではなく、まず現行システムの利用状況・コスト・リスクを可視化する棚卸しを行います。
その上で、「重複しているもの」「使用頻度が低いもの」「保守費用が高いが効果が薄いもの」などを整理し、優先順位をつけて統廃合を進めます。
特に、業務への影響が大きいシステムは段階的に切り替える方針とし、現場の不安や混乱を防ぎながら移行を実施します。
また、新システム導入時には現場への教育と定着支援も同時に行い、スムーズな最適化を図ります。
使われていないシステムにも保守費用を支払い続けている。
誰が管理しているか不明なツールも残っている。
棚卸しで使用状況とコストを可視化。
不要なツールを廃止し、残すべきシステムは段階的に統合することで、年間数百万円のITコスト削減に成功した。
社内システムの乱立は、放置すればするほど構造が複雑化し、対応に多くのコストと時間がかかるようになります。
しかし、今ある資産を活かしながら戦略的に整備・連携・統合していけば、段階的に全体最適に近づけることが可能です。
重要なのは、「何を捨てるか」ではなく、「何をどう活かすか」という視点です。
IT戦略の見直しを起点に、組織全体を巻き込んだ対応を計画的に進めることが、混乱のない移行と持続的な業務改善への第一歩となります。
5. 社内システムの乱立から脱却するための流れ

社内に乱立するシステムを統合・最適化するには、いきなり新システムを導入するのではなく、段階的かつ戦略的に取り組む必要があります。
- 現行システムの棚卸し
- 業務プロセスの整理・標準化
- IT全体最適化プランの策定
- 段階的な統合・連携の推進
- 運用・改善サイクルの構築
ここからは、現状把握から運用改善まで、混乱を防ぎながら確実にシステム統合を進めるためのステップを紹介します。
5.1. 現行システムの棚卸し
はじめの一歩は、現状を正確に把握することです。
社内で使われているすべての業務システムやツールを洗い出し、誰が、何の目的で、どれだけ使っているのかを明確にしましょう。
あわせて、利用頻度やコスト、他システムとの連携状況なども可視化することで、整理や統合の優先順位を判断する基礎となります。
- 全社・全部門で使用しているシステムを網羅的にリストアップしているか
- 各システムの利用部門、ユーザ数、用途、操作頻度が把握できているか
- 年間のライセンス料・保守費用・外部委託費用などが明示されているか
- 他システムとの連携可否や依存関係を記録しているか
- 誰も使っていない、もしくは導入目的が曖昧なツールが存在していないか
5.2. 業務プロセスの整理・標準化
システム統合の前に業務そのものを整えることが欠かせません。
部門ごとに独自のやり方が存在していると、統合後の混乱を招く原因になります。
現在の業務フローを棚卸しし、非効率な手順や属人化している部分を排除した上で、全社で共通する形へと標準化しましょう。
- 各部門の主要業務フローを図示・文書化して比較できるようにしているか
- 同じ業務に対して異なるやり方(入力方法・確認フローなど)が存在していないか
- 紙ベースやメールなど、非効率な運用が残っていないか
- 「この人しか分からない」という属人化業務を洗い出せているか
- 標準化された業務が将来システム上で再現可能かどうかを確認しているか
5.3. IT全体最適化プランの策定
現状の棚卸しと業務の整理を踏まえたうえで、「何を残し、何を統合・廃止するか」という方針を明確にし、全体の最適化を目指したIT再構築プランを策定します。
導入コストや業務負荷だけでなく、実現可能性や現場の運用に配慮した段階的な実施計画を立てることが求められます。
- 理想のIT環境(全体アーキテクチャ)の構想が描かれているか
- 既存システムの役割・必要性・投資対効果を比較・評価しているか
- 統合・廃止・刷新の判断基準が明文化されているか
- 段階導入に向けたスケジュール、予算、担当体制が整理されているか
- 現場の意見や運用負荷を加味した上での現実的なプランになっているか
5.4. 段階的な統合・連携の推進
統合プランを実行に移す際は、すべてを一気に切り替えるのではなく、影響範囲の少ない業務やツールから順に段階的に進めるのが基本です。
小さな成功体験を積み重ねながら、次のフェーズに進むことで、現場への混乱や拒否反応を最小限に抑えることができます。
- 統合や連携対象の優先順位が、業務影響の大きさや重要度に応じて決められているか
- 一部部署・プロジェクトでのテスト導入(パイロット展開)が計画されているか
- データ移行、アクセス権、運用ルールなど移行時の詳細設計が準備されているか
- 切り替え時のサポート体制(ヘルプデスク・マニュアル・教育)が整備されているか
- 運用中に想定されるトラブルへの対応フローが事前に設計されているか
5.5. 運用・改善サイクルの構築
新しいシステムを導入して終わりではなく、継続的に使いやすく改善していくことが、乱立の再発防止にもつながります。
定期的な評価・見直しのサイクルを構築し、現場の声を取り入れながらブラッシュアップを繰り返す仕組みを持つことが大切です。
- 定期的にシステム運用状況を評価する場が設けられているか
- アンケート、相談窓口など、現場からの不満・要望を収集する手段があるか
- 障害やトラブルの履歴を分析し、再発防止策を講じているか
- 業務改善・活用促進に向けたアップデート計画が立案・実施されているか
- システム活用状況(ログ、利用率など)をKPIとして定量的に把握しているか
6. 社内システムの再編を成功させるためのポイント

システム再編は、業務のデジタル化や全社的な最適化を進めるうえで極めて重要な取り組みです。
ただし、関係部門が多く、影響範囲が広い分、進め方を誤ると混乱や反発を招きやすくなります。
- 部門間調整と合意形成を図る
- 全体最適視点を持った施策を推進する
- 段階的な移行でリスクを低減させる
- セキュリティポリシーとデータガバナンスを強化する
- 現場定着を見据えた運用設計をする
- 専門機関からのアドバイスを受ける
以下のポイントをおさえることで、現場との摩擦を避けながら、実効性のある再編を実現することが可能です。
6.1. 部門間調整と合意形成を図る
再編は一部門だけの話ではなく、複数部門が関わる全社的な取り組みです。
だからこそ、各部門の立場や業務背景を尊重しながら、目的と方針を丁寧に説明し、納得感のある合意形成を進める必要があります。
現場の実務者レベルから課題や期待を吸い上げることで、無理のない導入と協力体制の構築につながります。

- 現場の課題や要望を丁寧にヒアリングする
- 利害が異なる部門の調整を事前に行う
- 合意形成のためのプロジェクト体制を明確にする
- 方針・目的を共有し、協働意識を醸成する
6.2. 全体最適視点を持った施策を推進する
個別の課題対応や要望に引きずられると、全体最適から外れてしまいます。
再編の軸は「企業全体としてのあるべき姿」であり、その実現のために何を選び、何を手放すかを判断する必要があります。
IT戦略と経営戦略をつなぎ、施策が組織全体の成長につながるかどうかを常にチェックする姿勢が重要です。

- システム選定や運用は全社に最適であるかを軸に判断する
- ITと経営の目的を一致させる
- 現場要望と経営判断のバランスを取る
- サイロ化を解消し、横断的な仕組みにする
6.3. 段階的な移行でリスクを低減させる
大規模なシステム切り替えには必ずリスクが伴います。
一斉切り替えよりも、小さく始めてフィードバックを反映しながら広げていく方が、成功確率が高まります。
特に基幹業務に関わる領域は、トライアル導入やパイロット運用を活用するのが現実的です。

- 一括移行ではなく、フェーズ分けして段階的に導入する
- テスト環境や一部部署でのパイロット展開を実施する
- 問題が発生した場合のバックアップ体制を用意する
- 小さな成功を積み重ねて全社展開へつなげる
6.4. セキュリティポリシーとデータガバナンスを強化する
システムが統合されると、取り扱う情報量が増え、アクセス範囲も広がります。
その一方で情報漏洩や操作ミスのリスクも高まるため、適切なアクセス制御、ログ管理、権限設計などの対策を事前に講じ、内部統制とデータ品質の維持を両立させることが不可欠です。

- 権限管理とアクセス制御を厳格に設計する
- 操作ログやデータ履歴を記録・監査可能にする
- マスタデータ管理ルールを整備する
- 情報資産の分類とリスクレベルに応じた対応を設計する
6.5. 現場定着を見据えた運用設計をする
再編の成否を分けるのは、システムの機能そのものではなく、現場で「使い続けられるかどうか」です。
導入初期のサポート体制やマニュアル整備、UI/UXへの配慮など、利用者目線に立った運用設計を行うことで、定着と活用を促進できます。

- 操作に不慣れなユーザ向けに教育や研修を実施する
- 利用頻度の高い機能を簡単に操作できるUIを設計する
- ヘルプデスクやQ&Aの仕組みを整備する
- フィードバックを受け取るチャネルを用意し、改善に反映させる
6.6. 専門機関からのアドバイスを受ける
社内だけでは気づかない構造的な課題や、業界トレンドに基づく判断が必要な場面もあります。
専門家の視点を取り入れることで、偏りのない客観的な判断が可能になり、失敗のリスクを減らすことができます。

- 社内にIT統括人材がいない場合は外部支援を検討する
- 第三者の立場から改善点を指摘してもらう
- 中立的な立場でアドバイスしてくれる外部専門家を選定する
- 開発・導入だけでなく、運用・改善まで支援可能なパートナーを選ぶ
社内システムの再編を成功させるためには、現場との丁寧な対話と、経営視点での全体最適の設計、そして段階的な導入・定着支援のバランスが欠かせません。
また、社内だけで完結させようとせず、外部の知見や経験を取り入れることで、プロジェクトの精度とスピードを高めることができます。
再編に取り組む企業が増える中、「どのような開発会社をパートナーにすべきか」は非常に重要なテーマです。
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7. 社内システム統合に強いシステム開発会社を選ぶポイント

社内システムの統合は、自社の業務全体に大きな影響を及ぼすプロジェクトと言えます。
その成功を左右するのが「どのシステム開発会社と組むか」という選定です。
技術力や価格だけで選ぶのではなく、業務理解・提案力・リスク管理力といった多角的な観点で判断することが求められます。
- 業務理解と設計力
- 既存資産を活かす提案力
- 柔軟なカスタマイズ・連携開発対応
- リスク管理とプロジェクト推進力
- 成功事例や導入実績の豊富さ
ここでは、信頼できるパートナーを選ぶためにおさえておくべきポイントを解説します。
7.1. 業務理解と設計力
システム統合においては、単に技術的な開発ができるだけでは不十分です。
自社の業務内容や業界特有のフローを深く理解したうえで、最適なシステム構成を描ける「業務設計力」が不可欠です。
ヒアリング時に、業務の全体像や課題の背景まで踏み込んで理解しようとする姿勢があるか、標準化と柔軟性のバランスを取った提案ができるかを見極めましょう。
- 業務フローや業界特性に関する質問が的確か
- 単なる開発ではなく「業務改善提案」が含まれているか
- 要件定義フェーズでの伴走力があるか
7.2. 既存資産を活かす提案力
多くの企業では、既存システムの一部に業務が深く根付いているため、「すべてを入れ替える」という選択は現実的ではありません。
既存資産(データベース・帳票・運用ルールなど)をどこまで活かしながら刷新できるかが、コストやリスクの観点でも重要になります。
そのため、レガシーシステムとの連携やデータ移行など、段階的な切替に関するノウハウを持つ会社を選ぶようにしましょう。
- 現行システムの強みや慣習を理解したうえで提案されているか
- 既存資産の再利用に関する具体的な設計があるか
- 移行フェーズの進め方や対応実績が豊富か
7.3. 柔軟なカスタマイズ・連携開発対応
企業ごとに業務の進め方やデータ構造は異なるため、パッケージ製品の範囲に収まらないケースも多くあります。
その際、APIや外部ツールとの連携、クラウド対応など、業務に合わせた個別機能の開発ができるかどうかは、開発会社の実力を測るうえで非常に重要なポイントです。
- 他社システムとの連携(API、RPA、ファイル連携など)の実績があるか
- 自社固有の業務プロセスに合わせた柔軟な設計が可能か
- クラウド移行やハイブリッド運用に関する知見があるか
7.4. リスク管理とプロジェクト推進力
システム統合は長期かつ高難度のプロジェクトになるため、途中でのトラブル対応力や進行管理の能力も問われます。
スケジュール遵守、品質管理、テスト工程、段階リリース、運用サポートといった「プロジェクト運営の全体設計」がしっかりしているかを見極めることが重要です。
また、障害発生時の連絡体制や責任分界点の明確さも事前に確認しましょう
- プロジェクトマネジメントの体制が明示されているか
- リスク対策(WBS、バックアップ、フェーズ分割)の計画があるか
- テスト・検証・運用設計まで一貫して対応できるか
7.5. 成功事例・導入実績の豊富さ
導入実績が多い会社は、実際の現場で起きるトラブルや業務側の負荷にも精通しており、単なる理論ではなく「現場目線での判断」ができます。
特に、自社と同規模・同業種の成功事例があるかどうかは、導入の成功確率を大きく左右します。
事例紹介資料の提供可否や、過去のプロジェクトにおける成果・課題についても確認すると良いでしょう。
- 自社に近い業種や業務領域での導入実績があるか
- 複数拠点や多部門にまたがる統合プロジェクトの経験があるか
- 顧客からの評価や継続契約の有無が確認できるか
8. 社内システム統合を実現するなら「ブリエ」

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株式会社ブリエは、業務改善とIT活用を熟知したプロフェッショナルが揃う、システム開発会社です。
業務フローの分析から最適なシステム設計、現場定着まで一貫して対応可能なため、複雑化した業務課題にも柔軟に対応します。
- 複数システムの統廃合とデータ連携設計
- 既存資産の活用を前提とした再構築
- スモールスタートからの段階導入
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9. まとめ
- 各部門で異なるシステムを使用しており、情報が一元管理できない
- 業務プロセスが分断され、部門間の連携が困難になる
- 同じ情報を複数のシステムに入力することで、人的ミスが増加
- 情報を探す手間がかかり、意思決定のスピードが落ちる
- システムごとの教育や運用が煩雑になり、管理コストが増大
- セキュリティ面でも統制が取りづらく、リスクが高まる
- 各部門が独自に導入したツールが蓄積されてしまっている
- クラウド/SaaSの普及により、IT部門を通さず導入できる環境が整っている
- 全社的なIT戦略やガイドラインが策定されていない
- 部門ごとのKPI達成を優先する風土が全体最適を阻害
- DXを「ツール導入」で済ませてしまい、業務整理が後回しになっている
- 一時的な課題解決を優先し、将来的な運用を見据えていない
- まずは現行システムの棚卸しを行い、全体像を把握する
- 業務フローを標準化し、重複や非効率を排除する
- 全社横断のIT戦略を再設計し、ガバナンスを強化する
- APIやiPaaSなどを使い、既存システムの連携から着手する
- ERPやDWHを活用して、データを一元管理する基盤を整える
- フェーズを分けた段階的な移行により、現場の混乱を最小限に抑える
- 利用状況や効果を定期的にチェックし、改善サイクルをまわす
- プロジェクト開始前に関係部門との合意形成を図る
- 全社視点での最適化を軸に施策を設計する
- 一括導入ではなく段階導入で現場への影響を減らす
- ユーザ視点での運用設計(UI/UX・教育・サポート)を徹底する
- セキュリティルールやデータガバナンスを強化して、統制を保つ
- 評価指標(KPI)を設定し、継続的な活用・改善に繋げる
- 必要に応じて外部の専門家やベンダーと連携する
- 業務内容や業界特性を理解したうえで提案できる開発会社を選ぶ
- 単なるツール提供ではなく、業務改善まで含めた支援が可能かを確認
- 既存システムやデータ資産を活かした移行提案ができることが重要
- カスタマイズ性や連携開発の柔軟性を備えているか確認する
- スケジュール・品質・リスク管理の実行力があるかを見極める
- 同業他社の導入実績や成功事例が豊富にあるかチェックする
- 実装だけでなく、運用定着や改善フェーズまで伴走できる会社を選定
「社内システムの統合」は一朝一夕で完結するものではありません。
中長期的な視点と継続的な改善姿勢を持ち、全社の情報基盤を最適化していくことが、企業の競争力を高める土台となります。

株式会社ブリエ代表取締役。Webデザイン、WordPress、Elementor、DTPデザイン、カメラマンなどを経て、FileMakerエンジニアとなる。企業の経営課題であるDX化、業務効率化、ペーパーレス化、情報の一元管理など、ビジネスニーズの変化に合わせてFileMakerで業務システムを開発し、柔軟に拡張して解決いたします。