
FileMakerエンジニア

おかげさまでBriller FileMaker Laboratory(BFL)も6回目、月に1回のペースなので半年も続けられたこと大変うれしく思います。
いわゆるハーフアニバーサリーですが、昨今ではハーフバースデーやハーフ成人式など、中間の区切りとして催すイベントも増えてきている印象があります。
節目といえばFileMaker(ファイルメーカー)は最初のリリース(FileMaker v.1.0)から今年で40年目となっておりました。
長く続けるというのは、単純ですが難しく大変なことなので、だからこそ節目には続けられたことに対する感謝を忘れないよう意識していきたいですね。
目次
テーマ
今回のテーマは「OS毎に違うショートカットキーの調査」です!
先日、社内でWindowsユーザーがMacユーザーに対してショートカットキーで説明したところ、別の挙動となりました。
確認してみたところ、同じショートカットキーでもWindowsとMacで動作が違っていた、ということがありました。
40年の歴史を持つFileMaker(ファイルメーカー)は当然ながら、WindowsとMac、両方のOSに対応しておりますが、細かいところで仕様が違うなんてこともそれなりにあります。
今回は、挙動の違うショートカットキーにどういうものがあるのかを取り上げさせていただきます。
これを覚えておけば、WindowsとMacを交えた説明や切り替えたときに間違いが起こりにくくなると思いますので、しっかり調べていきたいと思います。
ショートカットキーについて
調査の前に、ショートカットキーについて説明をさせていただきます。
ショートカットキーまたはキーボードショートカットですが、これらはキーボードのキーを組み合わせて、PC操作をより効率的に行うための機能となります。
通常の操作では、マウスを現在の位置から移動させて選択したり、複数回のクリックを必要としたりと、実行までに若干の手間と時間を必要とします。
そこで、コピーやペーストといったよく利用される機能には、キーの組み合わせによって実行までの手順をショートカット(短縮)する方法が用意されているのです。
その全てを覚える必要はありませんが、よく利用するショートカットキーだけでも覚えることができれば、間違いなく作業速度が向上するので、機会があればFileMaker(ファイルメーカー)以外のショートカットキーも調べてみてもいいと思います。
FileMakerのショートカットキーについて
上記で説明させていただいたショートカットキーですが、FileMaker(ファイルメーカー)には、WindowsとMac毎にキーボードショートカットのリファレンスが設けられております。
これらの内容を全て記載するとかなりの量なので、ここではページの案内だけさせていただきます。
【Windows】
〇 キーボードショートカット
・ モードのキーボードショートカット
・ テキストのキーボードショートカット
・ データベースの管理のキーボードショートカット
・ [スクリプトワークスペース]のキーボードショートカット
・ スクリプトデバッガのキーボードショートカット
【macOS】
〇 キーボードショートカット
・ モードのキーボードショートカット
・ テキストのキーボードショートカット
・ データベースの管理のキーボードショートカット
・ [スクリプトワークスペース]のキーボードショートカット
・ スクリプトデバッガのキーボードショートカット
環境
調査するにあたっての環境を紹介します。
今回はリファレンスを確認しての調査となりますので、ソフトウェアのみとなります。
ソフトウェア:FileMaker Pro 21.1.1.41
調査方法
同一キーの確認
WindowsとMacではキーボードの仕様が違うため、設定されているショートカットキーも違いますが、以下のキーは同じ機能をもっているため、同一として定義させていただきます。(参考:MacキーボードのWindowsキー)
【Windowsキー】⇔【Macキー】
Altキー ⇔ Optionキー
Controlキー ⇔ Commandキー(Controlキー)
リファレンスの確認
前述の「FileMakerのショートカットキーについて」の項で、ショートカットキーのリファレンスを記載させていただきました。
この計12ページの中から、WindowsとMacで設定されているショートカットキーが違う、または片方にしかないショートカットキーをリストアップします。


調査結果
キーボードショートカット
一般的なキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
確認と変更の破棄をせずに特定のダイアログボックスを閉じる | Shift+Esc | なし |
FileMaker Pro ヘルプを開く | F1 | command-? |
レイアウトポップアップメニューを開く | F2 | なし |
[設定] ダイアログボックスを開く | なし | command-, |
確認ダイアログボックスを表示せずにレコードを削除する | Ctrl+Shift+E | command-option-E |
ウインドウ表示キーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
ウインドウを重ねて表示する | Shift+F5 | なし |
ウインドウを閉じる | Ctrl+Shift+F4 | command-W |
左にスクロールする | Ctrl+Page Up | なし |
右にスクロールする | Ctrl+Page Down | なし |
ドキュメントの先頭までスクロールする | なし | Home |
ドキュメントの末尾までスクロールする | なし | End |
ウインドウを上下に並べて表示する | Shift+F4 | なし |
現在のウインドウを最小化する | なし | command-M |
FileMaker Pro アプリケーションを隠す | なし | command-H |
ドキュメントの表示を拡大する | F3 | command-+ |
ドキュメントの表示を縮小する | Shift+F3 | command– (ハイフン) |
値およびオブジェクトの挿入、貼り付け、選択キーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
直前に参照したレコードのデータ | Ctrl+^ | command-: |
直前のレコードのデータを挿入して次のフィールドに移動 | Ctrl+Shift+^ | command-shift-: |
マージフィールド | Ctrl+M | command-option-M |
レイアウト計算 | なし | command-shift-C |
スタイルを無視したテキスト | Ctrl+Shift+V | command-option-shift-V |
フィールド値を置換する | Ctrl+Shift+- (ハイフン) | command-= |
1 つのオブジェクトが選択されている場合に同じタイプのオブジェクトを選択する | Ctrl+Shift+A | command-option-A |
モードのキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
確認ダイアログボックスを表示せずにレコードを削除する | Ctrl+Shift+E | command-option-E |
レイアウトポップアップメニューを開いてレイアウトを切り替える | F2 | なし |
アクティブなフィールドのポップアップメニューの開閉 | なし | スペースバー |
[フィールド内容の全置換] ダイアログボックスを開く (フィールドを選択しているとき) | なし | command-control– |
検索モードのキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
除外ボタンの選択/選択解除 | なし | command-T |
レイアウトモードのキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
名前を指定してレイアウトに切り替える | Ctrl+K で [クイックオープン] ボックスをアクティブにしてレイアウト名の数文字を入力し、一致する一覧からレイアウトを選択する | なし |
選択したオブジェクトのサイズを、長さまたは幅の違いを維持しながら変更する | Ctrl+Shift キーを押しながらハンドルをドラッグします。 | option-shift キーを押しながらハンドルをドラッグ |
オブジェクトのサイズ変更時に、グリッド、ガイド、またはダイナミックガイドへのスナップ機能を解除する | Alt キーを押しながらオブジェクトのハンドルをドラッグ | キーを押しながらオブジェクトのハンドルをドラッグ |
オブジェクトのドラッグ時に、グリッド、ガイド、またはダイナミックガイドへのスナップ機能を解除する | Alt キーを押しながらオブジェクトをドラッグ | キーを押しながらオブジェクトをドラッグ |
オブジェクトの作成または編集時にガイドの表示/非表示を切り替える | Ctrl+Alt+: | command-option-; |
オブジェクトのガイドへのスナップを切り替える | Ctrl+Alt+Shift+: | command-option-shift-; |
オブジェクトの作成または編集時にダイナミックガイドを切り替える | Ctrl+Alt+B | command-option-‘ (アポストロフィ) |
パートラベルの表示方向を変更する | Ctrl キーを押しながらラベルをクリック | キーを押しながらラベルをクリック |
フィールドタブに新しいフィールドを追加する | Alt+N | command-return または command-enter |
選択したフィールドの名前を変更する | 入力コマンド | return または enter |
現在のツールを選択ツールに切り替える | テンキーがある場合には Enter キー、テンキーがない場合には Ctrl+Enter | テンキーがある場合には return キーまたは shift-return、テンキーがない場合には fn-return または fn-shift-return |
線ツールで 45 度単位の角度で線を描画する | Ctrl キーを押しながら線を描画 | option キーを押しながら線を描画 |
楕円ツールで円を描画する | Ctrl キーを押しながら円を描画 | option キーを押しながら円を描画 |
長方形ツールで正方形を描画する | Ctrl キーを押しながら正方形を描画 | option キーを押しながら正方形を描画 |
オブジェクトを正方形または円にのみサイズ変更する | Ctrl キーを押しながらオブジェクトのサイズを変更 | option キーを押しながらオブジェクトのサイズを変更 |
テキストのキーボードショートカット
テキストの削除を行うキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
次の単語 | Ctrl+Delete または Ctrl+Backspace | option-del |
前の文字 | Backspace | delete |
前の単語 | なし | option-delete |
カーソルの位置から行の先頭までのテキスト | なし | command-delete |
テキストの編集を行うキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
対象レコード内の全レコードをテキスト形式でクリップボードにコピーする | Ctrl+Shift+C オブジェクトが選択されていない状態で | command-option-C (オブジェクトが選択されていない状態で) |
テキストだけを貼り付ける | Ctrl+Shift+V | command-shift-option-V |
データベース内で選択したデータの次の出現箇所を検索する | Alt+Ctrl+H | command-option-I |
[選択部分の検索] 操作の現在の方向を反転する | Shift+Alt+Ctrl+H | command-shift-option-I |
ノンブレークスペースを挿入する | Ctrl+スペースバー | option-スペースバー |
フィールドにタブを挿入する | Ctrl+Tab | option-tab |
テキストの書式設定を行うキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
下付き | なし | control-command– |
上付き | なし | control-command-+ |
カーソル移動キーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
テキストの先頭 | Ctrl+Home | command-上向矢印キー |
テキストの末尾 | Ctrl+End | command-下向矢印キー |
行の先頭 | Home | command-左向矢印キー |
行の末尾 | End | command-右向矢印キー |
前の単語の先頭 | Ctrl+左向矢印キー | option-左向矢印キー |
次の単語の末尾 | Ctrl+右向矢印キー | option-右向矢印キー |
テキスト選択キーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
行の先頭まで | Shift+Home | command-shift-左向矢印キー |
前の単語の先頭まで | Ctrl+Shift+左向矢印キー | option-shift-左向矢印キー |
テキストの先頭まで | Ctrl+Shift+Home | command-option-shift-上向矢印キー |
行の末尾まで | Shift+End | command-shift-右向矢印キー |
次の単語の末尾まで | Ctrl+Shift+右向矢印キー | option-shift-右向矢印キー |
テキストの末尾まで | Ctrl+Shift+End | command-option-shift-下向矢印キー |
次の行 | Shift+下向矢印キー | command-shift-下向矢印キー |
前の行 | Shift+上向矢印キー | command-shift-上向矢印キー |
データベースの管理のキーボードショートカット
テーブルとリレーションシップの選択および配置のコマンド
動作 | Windowsキー | Macキー |
選択されたオブジェクトを移動する | テーブルを選択して Ctrl+ 上向矢印キー、Ctrl+ 下向矢印キー、Ctrl+ 左向矢印キー、Ctrl+ 右向矢印キー、または選択したテーブルをドラッグ | テーブルを選択して、option キーを押しながら矢印キーを押すか、または選択したテーブルをドラッグ |
選択されたオブジェクトのサイズを変更する | 完全に展開したテーブルを選択して、Ctrl+Shift 上向矢印キー、Ctrl+Shift 下向矢印キー、Ctrl+Shift 左向矢印キー、Ctrl+Shift 右向矢印キー | 完全に展開したテーブルを選択して、option-shift キーを押しながら矢印キーを押す |
リレーションシップグラフのショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
拡大表示カーソルを選択してそのまま維持する | Ctrl++ | command-= |
選択範囲をリレーションシップグラフからコマンドボタンに移動し、左から右に進む | Tab | なし |
選択範囲をコマンドボタンの右から左へ移動し、テーブルの追加コマンドからリレーションシップグラフに移動する | Shift+Tab | なし |
異なるボタンを選択する | Tab、左向矢印キー、右向矢印キー | なし |
選択したボタンのコマンドを実行する | スペースバー | なし |
選択したボタンのメニューのコマンドを実行する | Enter キーまたはスペースバーでメニューを表示し、上向矢印キーまたは下向矢印キーを使用してメニュー内の項目を選択してから、Enter キーを押してコマンドを実行する | なし |
[スクリプトワークスペース] のキーボードショートカット
動作 | Windowsキー | Macキー |
選択したスクリプトを保存して実行する | Ctrl+Shift+R | command-option-R |
選択したスクリプトをデバッグする ([高度なツールを使用する] を選択している場合) | Ctrl+Alt+R | command-shift-R |
[スクリプトワークスペース] を閉じる | Alt+F4 | command-shift-W |
[スクリプトワークスペース] のパネル間を移動する | Ctrl+’ | なし |
スクリプトで選択したスクリプトステップを上下に移動する | Ctrl+上向矢印キー、Ctrl+下向矢印キー | command-control-上向矢印キー、command-control-下向矢印キー |
スクリプトデバッガのキーボードショートカット
まとめ
想像以上にWindowsとMacでショートカットキーの動作に違いがあって驚きました。
私はWindowsユーザーなので、AltキーはOptionキー、ControlキーはCommandキーに置き換えれば、大抵のショートカットキーはMacでも同じ動作であろうと高を括っておりました。
しかしこれだけ違いがあると、OSを切り替えたときに同じ感覚でショートカットを利用するわけにはいかないですね。
この中で最低限気を付けておきたいのが、削除や閉じるといった機能でしょうか。
例えばブラウズモードのキーボードショートカットの「確認ダイアログボックスを表示せずにレコードを削除する」はWindowsだとCtrl+Shift+Eに対し、Macだとcommand-option-Eなので、他のショートカットキーを利用していたつもりでも、誤って削除してしまったなんてこともあるかもしれません。
あと個人的に気になった点としては、Windowsでは比較的新しい機能であるレイアウト計算のショートカットキーがありませんでした。
調べてみたところ、Macのcommand-shift-Cに対する、WindowsのCtrl+Shift+Cは「対象レコード内の全レコードをテキスト形式でクリップボードにコピー」に割り当てられてました。
他に割り当てられているものに関しては仕方のないことですが、それでも何でもいいのでショートカットキーの割り当てだけしてくれてたら嬉しいなって思います。
細かい話をするときりがありませんが、ひとまずWindowsとMacのショートカットキーは同じ動作をするものもあるけど、結構違っているものもあるので、切り替える場合は気を付けようというお話でした。
そうそうWindowsとMacを切り替えながら開発するといったことはないと思いますが、こういった仕様の違いは知っていて損はないと思います。
以上が【BFL vol.6】FileMakerのOS毎に違うショートカットキーを調べてみたの検証となります。
ここまで読んでくださって誠にありがとうございました。また次回のBFLもお楽しみに!
また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
WindowsやMacなどOSに問わず、開発のご相談もお気軽にお問い合わせください。

株式会社ブリエFileMakerエンジニア。ローコード開発を筆頭にプロコードからフロントエンドまで、多種多様な開発経験を活かしたフットワークの軽さが自慢のオールラウンダー。より便利に、より使いやすいUI/UXデザインをモットーに、新しい分野にも積極的に挑戦することで、あらゆるニーズに柔軟に対応できるよう、日々勉強を続けております。