
FileMakerエンジニア

サーバー間でファイルデータをやり取りするために欠かせないものがFTPクライアントです。
FFFTPをはじめ、多種多様なソフトはあれど、全ての機能要望を備えたものはなかなか見つけることはできません。
そこで提案させていただきたいのが業務システムとして高い柔軟性を持ち、外部連携機能のカスタマイズも可能なローコードツール、FileMaker(ファイルメーカー)です。
今回はFileMakerをFTPクライアント化し、外部サーバーとのファイルの送受信を実現した開発事例をご紹介します。
目次
背景と課題
あるクライアント様では、社外の取引先と定期的にファイルをやり取りする業務が発生しており、従来は別途FTPソフトを立ち上げて手動で操作していました。
しかし、以下の課題がありました。
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手作業による送受信の手間とミスが発生する
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送信履歴が残らず、トレーサビリティが確保できない
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業務フローに一貫性がない
これらの課題を解決するため、FileMaker(ファイルメーカー)にFTP機能を組み込むことで、業務の自動化と可視化を図りました。
開発した主な機能
1. FTPサーバー接続機能
ユーザーが設定したFTP接続情報(ホスト、ユーザ名、パスワード、ポート)を用いて外部サーバーに接続する機能を実装。
セキュリティの観点からSFTP(SSH接続)にも対応しました。
2.ファイルアップロード機能
指定フォルダにあるファイルを、ワンクリックでFTPサーバーにアップロードすることを可能にしました。
また、ファイルの種類ごとに送信先ディレクトリを自動で振り分ける仕組みも実装しました。
3. ファイルダウンロード機能
ファイルアップロードと同様に、FTPサーバー上のファイルをリスト化し、選択したファイルをダウンロードする機能を用意しました。
さらにダウンロード先からFileMaker(ファイルメーカー)内の保存先指定パスに自動で格納することで、作業の手間を大幅に減らすことができました。
4. 操作ログ・履歴の記録
送受信の操作ログをFileMaker(ファイルメーカー)内に記録し、操作ユーザ、日時、ファイル名、処理結果を一覧で確認できる仕組みを用意しました。
導入後の効果

毎日のファイル送信業務時間が約80%削減
手作業ミスの防止と履歴の可視化で内部統制が強化
業務フローがFileMakerに一元化され、作業負担が軽減
導入までのスケジュールと費用感
導入スケジュール
工程 | 内容 | スケジュール |
---|---|---|
ヒアリング・要件整理 | FTPの仕様、業務フロー、サーバー環境などの確認 | 1週間 |
仕様策定・設計 | 接続方法(FTP/SFTP)、UI設計、ログ設計など | 1週間 |
開発・構築 | FileMakerスクリプト、cURL連携、エラー処理、ログ機能などの実装 | 2~3週間 |
テスト・調整 | 本番環境に近いサーバーでの動作確認、不具合修正 | 1週間 |
導入・本番リリース | 本番環境での運用開始、初期データ投入、運用レクチャー | 1週間 |
合計期間 | 6~7週間 |
費用感(目安)
項目 | 内容 | 費用(目安) |
---|---|---|
要件定義・設計費 | 初期ヒアリング、設計ドキュメント | 約10~15万円 |
機能開発費 | FTP接続、送受信、ログ記録、UI構築など | 約30~50万円 |
テスト・導入支援 | 環境構築、サーバー接続テスト、本番リリース | 約5~10万円 |
合計費用 | 約45~75万円 |
その他の費用
- FileMakerライセンス費(クライアント数により変動)
- クラウド運用の場合は別途サーバー利用料
- 保守・運用支援、機能拡張のご相談
まとめ
FileMaker(ファイルメーカー)はcURL (Client for URLs) というオープン標準のソフトウェア関数ライブラリをサポートしています。
Claris FileMaker Pro ヘルプ:サポートされている cURL オプション
今回のFTPクライアント機能を元に、他の機能と連携することで更なる業務効率の改善と拡張が見込めるのもFileMaker導入の大きなメリットです。
データベースツールとしての利用だけではなく、様々なオプションとアジャイル開発に適した開発環境を擁しているため、柔軟性と速度を両立した対応が可能となっております。
この事例が、貴社の課題解決のヒントとなれば幸いです。
株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
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株式会社ブリエFileMakerエンジニア。ローコード開発を筆頭にプロコードからフロントエンドまで、多種多様な開発経験を活かしたフットワークの軽さが自慢のオールラウンダー。より便利に、より使いやすいUI/UXデザインをモットーに、新しい分野にも積極的に挑戦することで、あらゆるニーズに柔軟に対応できるよう、日々勉強を続けております。