
FileMakerエンジニア

業務の現場では、手書きやExcel、口頭でのやりとりが日常的に交錯し、情報の分断や管理の煩雑さに頭を悩ませる声が絶えません。
「もっと簡単に、現場の状況を把握できたら……」
「進捗や書類を一元管理できたら……」
そんな願いを持つ方も多いのではないでしょうか。
実は、操作性に優れたシステムを導入することで、現場ごとの進捗や書類管理の「見える化」は十分に実現可能です。
株式会社ブリエでは、FileMaker(ファイルメーカー)を活用し、直感的なダッシュボードと使い心地の良いUIデザインで、現場管理の課題を解決した事例があります。
本記事では、複数現場を同時進行する造園業のA社様(仮名)が「現場進捗の見える化」を実現したFileMaker業務管理システムの導入プロセスと、その効果を現場のリアルな声とともにご紹介します。
目次
背景と課題
近年、造園業や建設業など、多くの現場が同時並行で進行する業界では、業務の進捗管理や情報共有が大きな課題となっています。特に、現場ごとに発生する日報や工事書類の管理は、従来の手書きやExcelベースの運用では限界がありました。
例えば、A社様では年間100件を超える現場が稼働しており、各現場の進捗状況や作業内容を正確に把握することが困難でした。現場からの報告は紙の日報やメールでバラバラに届き、情報の集約や確認作業に多大な時間と労力がかかっていました。
さらに、情報管理が属人化しやすく、担当者が不在の場合には進捗状況の把握や業務引き継ぎがスムーズに行えないという問題も発生していました。これにより、納期遅延や作業ミス、顧客対応の遅れなど、業務全体の品質低下につながるリスクが高まっていました。
経営層からは「全体の進捗状況を一目で把握したい」「現場ごとの負荷やリソース配分を最適化したい」という声が上がる一方、現場担当者からは「自分の担当現場の進捗を簡単に確認したい」「報告や書類作成の手間を減らしたい」といった要望が寄せられていました。
導入ソリューションの概要

「ダッシュボード」は、さまざまな業種の業務管理や経営課題の解決を支援するための中核機能です。売上や業務進捗、各種提出物の状況など、事業運営に必要な情報を一元的に「見える化」し、現状把握と迅速な意思決定をサポートします。
・売上や業務実績のグラフ表示
月ごとの売上実績や見込みをグラフで視覚的に確認でき、推移や比較が容易です。
・各種提出物、日報の管理
日報や各種書類の提出状況を一覧で把握でき、提出漏れや遅延を防止します。日付や月ごとの切り替えもスムーズです。
・見積、発注、経費、案件、請求書管理
見積書や発注書、経費、案件、請求書など、業務に必要な情報へダッシュボードから直接アクセスでき、承認や確認作業を効率化します。
・当日の予定や進捗状況の確認
当日の作業予定や進捗状況を一目で把握でき、現場やオフィスでの業務調整に役立ちます。
- 業務全体の進捗や経営状況をリアルタイムで把握でき、迅速な意思決定を支援します。
- 提出物や承認作業の遅延を防ぎ、業務効率化とミス削減につながります。
- 各種業務データをクラウドで一元管理することで、関係者間の情報共有が円滑になります。
お客様からの要望
A社様からは、以下のような具体的な要望がありました。
- 現場ごとの進捗状況をリアルタイムで確認したい
- 作業日報や工事書類を一元管理したい
- 経営層、現場担当者それぞれに最適なダッシュボードを用意したい
- シンプルで直感的なUI/UX
- スマートフォンやタブレットからも操作可能にしたい
- 将来的な機能追加やカスタマイズにも柔軟に対応したい
提案
これらの要望に対し、私たちブリエは「FileMaker」を活用した業務管理システムの構築を提案しました。FileMakerは、柔軟なカスタマイズ性と優れたUI設計が可能なローコード開発プラットフォームであり、現場業務の「見える化」や情報一元管理に最適です。
提案内容 | 期待効果 |
---|---|
ダッシュボード機能の実装 | 進捗状況を一目で把握、現場・経営層双方のニーズに対応 |
日報・工事書類の一元管理 | 情報の属人化防止、ペーパーレス化、検索性向上 |
モバイル対応UI | 現場からのリアルタイム入力・確認が可能 |
柔軟なカスタマイズ性 | 業務フローや将来の拡張に対応 |
実装プロセス

要望定義(2週間)
まずはA社様の現場担当者・経営層へのヒアリングを実施し、現状の業務フローや課題、システムに求める要件を洗い出しました。ここでは、実際の現場作業の流れや、日報・工事書類の作成・管理方法、現場ごとの進捗確認方法などを詳細にヒアリングし、業務全体の「見える化」に必要な情報項目や機能要件を整理しました。
- 現場ごとの進捗管理項目リスト
- 日報・工事書類の管理フロー図
- 経営層、現場担当者それぞれのダッシュボード要件定義
要件定義(3週間)
次に、要望定義をもとにシステム要件を具体化しました。ここでは、各機能の画面設計やデータベース設計、操作フローの検討を行いました。また、ユーザー権限やセキュリティ要件、モバイル対応の範囲なども明確に定義しました。
- 画面遷移図
- データベース設計書
- 権限管理仕様書
- システム全体構成図
開発(6週間)
開発フェーズに入ってからは、打ち合わせの頻度を隔週に変更し、効率的かつ着実にプロジェクトを進行しました。開発が進み、各機能がある程度形になってきた段階で、機能ごとにお客様と確認の機会を設けます。
この際には、
- イメージ通りに実現できているか
- 想定していた通りに進んでいるか
- 当初決定した要件が正しく反映されているか
といったポイントを、一つひとつ丁寧にご確認いただきます。
このプロセスを通じて、お客様から新たなご要望や改善点が挙がることも少なくありません。しかし、追加要望に都度対応していると、プロジェクト全体の進行が遅れてしまうリスクがあります。そのため、まずは当初合意した基本機能の開発を最優先し、確実に完了させることを重視しています。
基本機能がすべて実装された後、追加のご要望については優先度を整理し、改めて検討・対応していく方針を徹底しています。これにより、プロジェクトの品質と納期を両立しつつ、お客様の期待に応えるシステム開発を実現しています。

ユーザー教育(2時間+1週間)
システム導入後は、現場担当者・経営層を対象にしたユーザー教育を実施しました。初回は2時間の集合研修を行い、その後2週間にわたりリモートでサポートを実施。マニュアルや操作動画も用意し、現場での定着を徹底的にサポートしました。
運用
導入後は、現場からのフィードバックをもとに、運用フローの最適化や機能改善を継続的に実施しています。例えば、現場ごとに必要なカスタム項目の追加や、ダッシュボードのグラフ表示内容のチューニングなど、業務の変化や現場ニーズに合わせて柔軟に対応しています。
また、システムの稼働状況や利用率を定期的にモニタリングし、運用上の課題や改善点を早期に発見・対応できる体制を整えています。
効果測定:導入前後の数値変化
FileMakerによるダッシュボード機能導入の効果を、定量的な数値で測定しました。
指標 | 導入前 | 導入後 | 改善率 |
---|---|---|---|
日報・書類作成時間 | 現場あたり2時間 | 現場あたり30分 | 75%削減 |
進捗確認・集計作業時間 | 1日あたり1時間 | 1日あたり10分 | 83%削減 |
情報共有のタイムラグ | 最大2日 | 即時 | 100%改善 |
ヒューマンエラー発生件数 | 月10件 | 月1件 | 90%削減 |
顧客満足度 | 75点(100点満点) | 92点(100点満点) | +17pt向上 |

まとめ
FileMakerを活用した「見える化」ダッシュボード機能の導入により、A社様では現場業務の進捗管理が飛躍的に効率化されました。経営層は全体の状況を一目で把握でき、現場担当者は日々の業務負担を大幅に削減。情報の属人化やヒューマンエラーも抑制され、組織全体の業務品質と顧客満足度が向上しました。
今後も、現場の声を活かしながら、より使いやすく、柔軟に進化する業務管理システムの構築を目指してまいります。
業務の「見える化」や進捗管理でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。FileMakerによる業務改善のご提案や、無料デモもご用意しております。
※本記事は実際の事例をもとに構成していますが、一部内容・数値はダミーを含みます。ご要望に応じたカスタマイズ提案も可能ですので、まずはご相談ください。
また、株式会社ブリエでは、FileMakerを活用したシステム開発や運用支援を行っています。
業務システムのセキュリティについてのご相談もお気軽にお問い合わせください。

株式会社ブリエ代表取締役。Webデザイン、WordPress、Elementor、DTPデザイン、カメラマンなどを経て、FileMakerエンジニアとなる。企業の経営課題であるDX化、業務効率化、ペーパーレス化、情報の一元管理など、ビジネスニーズの変化に合わせてFileMakerで業務システムを開発し、柔軟に拡張して解決いたします。